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玉葱さん太郎に何が起こったか

玉葱さん太郎というスナック菓子がある。


ネーミングから玉葱の味なんだろうと思って食べてみると、サクサクフワフワした食感がグッと前に出てきて、味はよくわからなかった。けれどもそんなことはどうでもいい。

味よりも何よりも気になったのは、パッケージの裏側に書いてあるキャッチコピーというか、売り文句だ。こんなことを書いてある。


こんにちは。この度は玉葱さん太郎をお買い上げいただきありがとう。
わたし「玉葱さん太郎」は上質なとうもろこしを使用し、ソース、調味料を混ぜ、口当たりの良いかる〜いスナック菓子です。

玉葱さん太郎自らが買ってくれた人たちに自分自身をプレゼンする体裁で話をしている。ここまではいい。が、ここから先がちょっと不思議な雰囲気を帯びてくる。

もりもり食べてもりもり勉強した・・・。先生・・・「大変よくなりましたネ」・・・。玉葱さん太郎はおいしいヨ!。妹にも教えてあげてネ。


ここで突然、玉葱さん太郎の意識が朦朧としてくる。思い付いたことをうわごとのようにポロポロとつぶやき始め、誰に言っているのか、何を伝えたいのかはっきりしない。プレゼンの途中で玉葱さん太郎に何が起こったのか。薬を盛られたか。病があらわれたか。パッケージを持っている手が震えた。

玉葱さん太郎に何が起こったか。

(続く)


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