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小説を書くうえで覚えておいてほしいこと

こんにちは。かべちょろ(タキシュンスケ)です。

最近、BookBaseという出版プラットホームが開発されていることを知り編集者を募集していたので応募しました。久々の編集(ほぼ添削ですが)作業だったのですが、これから世に出る作品を先に見れる優越感というのはたまらないですね。多分落ちてしまいましたが、あの小説を書かれた作者様がより良い作品を世に出す日を楽しみにしている今日この頃です。

さて、小説には書くうえでマナーがあることをご存知でしょうか。マナーというよりも、ルールに近い『守らなければならないこと』です。

さらに、小説は視覚のみの情報で世界を表現しなければならないので、一辺倒な表現は好まれません。同じことを言いたくでも、言い回しや表現方法を変える工夫と語彙が不可欠になります。

そういった書くときに必要なことを総合して、気をつけるべきポイントを紹介していきます。


1.改行の後、段落の初めは必ず1文字分スペースを開ける。

何を当たり前のことを、と思っている方もいると思いますが、守ってない人が意外といます。どんな文章教室に行っても、必ず言われるほど日本語の長文を書くときに守らなければならないルールになります。中央省庁の公式文書でも遵守されているくらい、ポピュラーな決まりです。


2.「!」や「?」の後に文章を続けるときは、必ず1文字分スペースを開ける。そこで文が終わるときは、後に句点は付けない。

小説では会話文中に使うことが多い「!」や「?」ですが、この後に文章を続ける場合、半角スペースを開けなければなりません。また、そこで文を終わりにするとき「!」や「?」の後にさらに句点をつけてはいけません。感嘆符や疑問符はそれ自体に文章の終始の意味があるためです

また、そこで文を終わりにするとき「!」や「?」の後にさらに句点をつけてはいけません。感嘆符や疑問符はそれ自体に文章の終始の意味があるためです。


3.同じ言い回しは使わない

はじめに書いた通り、小説は視覚のみで全てを表現する芸術です。音、匂い、感触、感情などあらゆる情報を文字で表現する必要があります。しかしながら、同じ状況や状態を表現するときに同じ言い回しや表現を使うことは語彙が少なく文章全体を安っぽく見せてしまいます。特に戦闘描写中なんかに起きやすいのですが、テンポよく臨場感を表現したいのにずーっと同じ表現を使うのは臨場感が全く伝わってきません。

例えば、「走る」という状況を表現したい場合。「駆ける」「突っ走る」「地を勢いよく蹴る」など同じ状況を表現したくても、状況などによって言い回しや表現はたくさん工夫することができます。

「〜は走った」「〜も走った」のように、同じ「走る」しか使っていない文章は『語彙力ないんだな』と思ってしまします。なので、「〜は走った」「〜も駆け出す」のように、同じ表現は何回も使わないようにしましょう。ただし、その言い回しで強調したいことがある場合は例外です。


4.弱点のない主人公は面白くない

弱点のない主人公ほど見ていてつまらないものはありません。どんな敵もワンパン、なんて小説でわざわざ書く必要がないからです。

『ワンパンマン(ONE原作・集英社)』の主人公であるサイタマは、どんな的でもワンパンで倒してしまいます。しかし、彼にも弱点があります。人間性に難あり(ハゲと言われると一般人相手に切れるくらいに器が小さい)、ヒーローは遅れてやってくる(味方が瀕死になってから颯爽と現れワンパン)など、全知全能ではありません。そこにギャグが入り、人間関係が入り作品が成り立っています。

『魔法科高校の劣等生(佐島勤・KADOKAWA)』の主人公である司波達也は、どんな傷でも24時間以内なら癒し、どんなものでも存在を知覚し、物体を分子・分解レベルに分解することができます。これだけ見れば最強ですが、感情が欠落していたり(妹の深雪への兄妹愛のみ感じる)、他の魔法が使えない(実際使えるが、実戦レベルには遠く及ばない)など、それ相応の欠点を持っています。

主人公とは小説内での読者自身です。作者は読者が主人公になりきって本を読むことを想定し、共感を得られる主人公を作らなければなりません。


5.何の伏線もなしにどんでん返しは起こさない

伏線は物語を面白くする上で欠かせない要素です。些細な一文も終盤には重要な伏線だったと分かると読んでいて楽しくなります。

終盤、クライマックスは物語が大きく動きます。中盤までで積み重ねたありとあらゆる要素が重なり合い、物語で最も大きな山を迎えるからです。しかし、その山は何の前触れもなく現れるものではありません。中盤から、『山がある』『これから何か起こる』という予感を重ねなければ読者としても急な展開に冷めてしまいます。逆に、積み重ねた伏線の結果で起こった急な展開というのは読者に「そう来たか!」と思わせることができるのです。


6.作品はもう一つの現実、人間関係こそ面白さの根底

作品とは作者が作り上げたもう一つの現実です。そのもう一つの現実にある人間関係が面白さに必ず繋がります。

小説には基本的に2〜5人程度主要な登場人物がいます。そして、その全員に何かしらの関係性があるはずです。その中で、好意的な関係を築くこともあれば逆に殺し合うような関係に発展することもあります。その人間関係をどれだけ面白く作ることができるのかというのは、小説の面白さに直結します。

つまり、どれだけ面白くて作り込んだ設定であっても人間同士が繋がってない作品は面白くないのです。ストーリーがシンプルであっても、そこで起こる人間同士のドラマが盛り上がる作品は読者を獲得します。


7.目的の読者層をはっきり決める

とりあえず、これで最後にしようと思います。読者層を決めるのは、最も重要なポイントと言っても過言ではありません。

小説は芸術です。そして、芸術において万人に愛される作品は絶対にあり得ません。小説では読者層を決め、その読者層が共感しうる作品を作ることがより多くの読者の獲得につながります。目的の層に合わせた表現+設定が必ず必要です。プロットを書くとき、ストーリーよりも先に意識するべき点です。

アンパンマンという作品を知っているでしょうか。やなせたかし先生が書いた、幼児向けの作品です。幼い頃アンパンマンが大好きだった人でも、成長すればやがて興味がポケモンやジャンプ系などより高い年齢層をターゲットにした作品にシフトしていきます。

人は成長とともに様々な経験を通して、感受性が進化していきます。同じくらいの年齢性別には興味の共通点があります。そこを突き、10人に1人、100人に1人でも作品に興味を持ってくれる人がいれば作者の大勝利です。だから、全ての人に興味を持つ作品より、こんな人に読んでもらいたいと具体的な読者層を決めることで、作品に自然とまとまりができていきます。


これを読んだ貴方の作品に1人でも多くのファンができることを祈っています。