公募ガイド「小説でもどうぞ」で最優秀賞をいただいた話
「公募ガイドONLINE」の第9回「小説でもどうぞ」にて、最優秀賞をいただきました。びっくりして、しばらく口が開いたままになったよ。
書くことにちゃんと挑戦してみようと決めてから、もうすぐ2年。
書くことに向き合うのって超勇気がいるし、恥ずかしくて辛い。
でもさ、公募記録ノートを見返してみたら、児童文学を中心に大小合わせて17の公募に応募していたのよ、私。ガンバッタナ!
とはいえ、受賞どころか一次も通らぬ玉砕の日々だったんだよね。
心がバッキバキに折れて、しかも複雑骨折で、虚無に支配されかかっていたところだったので、喜びもひとしお。
ああ、初白星だー。
しみじみ嬉しい。
「小説でもどうぞ」への投稿は初めて。
テーマが「冒険」だったので、RPG「ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド」の体験をもとにして書きました。
コロナ禍でどこへも行けなかったGWに、中学生の息子に熱烈に勧められて渋々始めたブレワイ。
本格的なゲームをやるのは初めてで、操作がなかなか覚えられなくってさー。
行きたい方向には行けないし、戦闘はこわいし。
最初はあんまり楽しくなかったはずなんだけど、息子が懇切丁寧に指導してくれたおかげで、気がついたらしっかりハマって、いつしか冒険が日課になっていました。
ほぼ1年かけて、ようやくクリアしたんだけど、私ばかりか息子までエラく感動してくれて。けっこう特別なゲーム体験になったわけ。
絶壁から見た朝焼けの海とか、山頂の虹、夜空からこぼれ落ちる流れ星とか。
美しかったんだよ。
ステイホームの日々だったけど、私たち、確かに旅をしてた。
潮風を感じたり、全力で走ったり、勇気を振り絞ったり。
あれは本当の冒険だったと思うんだ。
なんかそういうことを、記念に残したいなと思って書いたので、形にできたことがまず嬉しかった。
加えて審査員が高橋源一郎先生だったのが、ズキュンポイントでした。
「さようなら、ギャングたち」に出会ってから好きだった源一郎先生。松苗あけみ先生表紙の「文学がこんなにわかっていいかしら」だって、ハードカバーで今も持ってるよ!
文章修行の一環として、月1〜2冊、小説の書き方的な本を読むことにしてるんだけど、源一郎先生の「デビュー作を書くための超『小説』教室」は心に沁みたんだよね。
「新人が『書きたかったもの』と、じっさいに『書かれたもの』は一致しないことがしょっちゅうある」けれど、書かれるはずだった「幻の作品」、つまり「あなたがいずれ書くであろう、可能性の小説」を、みきわめて読む人種、それが新人賞の選考委員だ、と。
私がいちばんジーン!ときたのは、それを山登りに例えた箇所です。
そしてこのあと、選考委員の面々が作品を審査する様子を、具体的に登山の痕跡を検証するという例えで書いているのですが、それが本当に愛にあふれていて涙ぐみそうになるのです。
長いから引用は省くけど。
いいなぁ。
私もインテリ源ちゃんにいつか作品を読んでもらいたいよ!
そう思っていたのです。
その源一郎先生が私の作品を読んでくれた?
いやそれだけじゃなくて、選んでくれて、「最高です!」とか言ってくれてる?
冷静に考えてみたら、ありえない。
ちょっと意味がわからない。
動悸がしてきた。妄想なんじゃないか?
とりあえず妄想じゃない証として、講評をプリントして机の前に貼りました。
今まで誰からも評価されなくて、暗闇のなかを手探りで歩いてるみたいな感じだったんだ。
この場所のままじゃきっとだめで、どこかもっと遠くまで行かなきゃいけないのはわかってる。でもそもそも、どっちに行けばいいのかわからないし、その道が合ってるのかどうか誰も教えてくれない。
だんだん、自分が書いているものなんて、なーんの価値もないように思えてきて、ああもう歩くのやめよっかなぁ、どうせ誰も読んでくれないしって、立ち止まってた。
そんなときに賞をいただいたものだから、
「まあ、そっちの方角で合ってるんじゃない? もうちょい歩いてみれば?」と、背中を押された気がします。
ああ、いいお守りをもらったなぁ。
泣けてくるよ。
とはいえ、デビューを決めたわけでもなし。
私が何者にもなってないことは、変わらないわけで。
他の入選作を読んだら、みんな上手くてゾッとしたよね。
今回はたまたま、私の書きたいこととテーマが合っていたということだと思う。他のテーマだったら勝てる気がしない。
たまたまじゃなくて、いつでもヒットが打てるようにするにはどうすればいいんだろう?
まだまだ自分は修行途中だということが、かえって身に染みました。
うん、頑張ろう。
さて、賞品はAmazonギフト券10000円分。
ひゃっほう!
なにに使おうか? とワクワク考えたんだけど、息子への感謝も込めて、次に出るゼルダの新作購入費に当てようと思います。ブレワイ続編。
息子氏、喜んでる!
フフフいいのだよ。どうせ私もやるし。
今までは私は、作品ができただけで舞い上がって、「ヨシ、とりあえず応募してみよう!」と思ってたけど、「とりあえず」って言ってる間は先に行けないんだろうな。
今後は「とりあえず」を封印して、ちゃんと覚悟を決めたものが書けるようになりたい。
賞をもらって息を吹き返した、私の決意です。
この2ヶ月、もうどこへも応募する元気が湧かなくてやさぐれていたのですが、めげずにまた書いてみようと思えました。
ありがとう、源ちゃん。
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