見出し画像

Udemyという黒船

黒船が来ないと変わらない日本人

動画教材を日本人に伝えたという意味では、Udemyは一種の「黒船」であったのではないかと思う。

日本では、企業が従業員教育に動画を使うような、いわゆるe-ラーニングは盛んだった。
しかし、個人が動画教材を作ってマネタイズしていく、といった発想はほとんど見られなかった。

2015年にUdemyが上陸してきて、その構図が変わった格好だ。
(国内での提携先として、教育産業の雄ともいえるベネッセが引き受けた形ではあるが)

YouTubeもひとつの「黒船」だったが、Udemyも「黒船」のひとつだ。
こうした黒船が来ないと変わらないのが、残念ながら日本人という人種である。

Udemyのどこが黒船だったか?

Udemyについてご存知ない方は少ないだろうが(何しろTV-CMまで打っている)利用したことのない方は多いかもしれない。

Udemyが開いたのは、個人が個人に対して「動画」というツールを使って教える道だ。

Udemyでは、講師になるのにほぼ何の審査もない。
ただ、動画を作れさえすれば、講師になれる。

さらに内容的にも、映像・音声面のクォリティや、レクチャーのサイズ(長さ)程度しか審査はない。
自分が持つ他のサービスの宣伝など特有のガイドラインは厳しく規制されるが(それもボーナスレクチャーという逃げ道は用意されている)そういうことをしなければまず問題なく審査OKとなる。

コースが売れるかどうかは、市場原理にまかされている。

UdemyとYouTubeを比較して

もちろん、Udemyは学習動画、動画講座といった立ち位置なので、エンタメ的なコンテンツは受け付けない。
だから「お役立ちコンテンツ」の配信メディアとして比較するならば、の話だ。

YouTubeに比べて、Udemyは映像コンテンツとしての品質は特に問われない。正直、伝えるコンテンツだけの勝負である。

そして、内容しだいでは自己プロモーションをなんら行わなくても、コンテンツが売れる可能性がある。

YouTubeを収益化しようとすると、相当な助走期間が必要なのに比べると、全然難易度がちがうのだ。

さらに、制作面においても、Udemyで主流となっているようなコンテンツは非常に制作がたやすい。

正直な話、PowerPointだけでコンテンツが作れてしまう。(Webカメラとマイクは必要だが、動画編集ソフトは必要ない)

非常に参入障壁の低いメディアなのだ。

Udemyのスタイル

私はストアカでUdemyを紹介する講座を行っている。
そこで、Udemyのデメリットとして紹介しているのは、稼ぎの少なさだ。

Udemyでは、現在2440円~24000円の範囲で、動画コースに値段をつけることができる。
この段階で、すでに上限が24000円と決まっている上に、その上限価格で売れることは、まずない。

それはUdemyがバーゲンセールを頻繁に行っているからだ。
ユーザーもそれはよく知っている。
バーゲンセール期間しか、ほとんどコースは売れない。

バーゲンセール期間は、どんなコースにも1500円~2千数百円くらいの価格がつけられる。(講師はバーゲンセールに参加しない権利はある)

まぁ、1500円くらいで売れるものだと思ったほうがよい。

さらに、その売値から講師の取り分が少ない。
基本、37%しかもらえない。
つまり、動画コースが1本売れて講師に入るのは、数百円である。
(そのかわりに自己集客した場合は97%が取り分である)

このことを講座で話すと、受講生(といっても相手も講師である)はたいていその少なさを嘆くのだが、私はこう言うことにしている。

「出版社から紙の本を出したと思いましょう。
書籍の売価はだいたい1500円くらい。
印税率は10%です。
つまり1冊本が売れて著者に入るのは150円。
それに比べれば、Udemyは恵まれている」

バーゲンセールがあるからこそ、Udemyの動画コースは売れる。
つまり、そういうものだということだ。

Udemyは動画教材への入門編

だから、Udemyで大儲けはできない。
動画教材入門の腕試しにUdemyへコースを出品してみるとか、あるいはフロントエンドとしての役割を期待しての利用がいいだろう。

ただ、Udemyは動画教材の入門用には非常に向いていると思う。
というのは「小さな達成感」が得られやすい傾向にあるからだ。

ここで腕試しをしてみるのもいいかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?