2015.5.20「頼んでもいいのよね?」

 ケアマネジャーとの面談後、最初に取り入れたのは、お弁当の宅配サービスだった。母の代わりに買い物や作り置きをしたが、毎食の準備も負担になったのだろう。糖尿病の父や拘りの強い叔母に配慮した献立がそれぞれ必要な上に、外食やコンビニを利用するといった融通が効かない家族だというのも苦労の一因だった。

 ケアマネジャーが届けて下さった幾つかの宅配弁当業者のパンフレットをめくると、カロリーやタンパク量、咀嚼能力に配慮したメニューが用意されていた。「お父さんにも良さそうだね。」と既に申し込むつもりの私に、母が「ねぇ、お弁当頼んでもいいのよね?」と言った。誰かに許しを求めるような言い方だった。

 世代なのか、母の個性なのか、外の資源を取り入れることに抵抗感を持つらしい。「当然でしょ。しんどいのだから。」と返す私に「そうよね。」とつぶやく母。納得したと思っていたが、気のすむまで頑張るだけの体力が既に無く、しぶしぶ受け入れたのだと今ならわかる。