朝日と菜の花とフォトスポットと@富浦

止まない暴風雨のなか、千倉の同居人に送っていただきたどりついたのは房総半島の反対側である富浦だ。勝手に30分車にのっていただけで房総半島を横断した気になっている私。単純である。

雨風に吹かれたどりついたのは「道の駅とみうら 枇杷倶楽部」だ。全国道の駅グランプリ2020で最優秀賞も受賞したこの駅は、カフェからの景色もとてもよく、こじんまりとしたあたたかみのある素敵な道の駅だ。あまりにすてきすぎて本滞在中に2回もたずねてしまった。

なんとカフェスペースには利用可能なコンセントもあり、コワーキング道の駅である。駅からも徒歩15分ほどで到着する、すてきなノマドワーカーの強い味方である。

ちょうど今はお昼時、さっそく注文したのはびわカレーだ。さすが房総名物、房州産びわピューレを使用したカレーらしい。実はカレーが苦手な私だが、ついつい注文してしまった。

辛さはあるものの、マイルドで食べやすくておいしい。空腹もあってぺろりだ。

雨宿りもかねて仕事をすると、なんとか歩けるぐらいの風にはなってきた。動くにはいましかない。雨の中少し歩くと海沿いにでてきた。あと20分もっと歩かなければおうちにたどりつけないと思うとすこし気が重いが、荒れた海沿いを歩けることも少ないから貴重な体験をしているというスーパーポジティブ思考に切り替えて前に進んだ。

本日の家にたどり着くと迎えてくれたのはちょっとだけ耳が遠いおじいちゃんカメラマンだ。どうやら仕事おわりにスーパーに車で連れて行ってくれるらしい。

お味噌汁がどうしても作りたかった私が味噌があるかたずねたところ、本当はないけどどうやら分けていただけるらしい。ありがたさが極めている。

そういえば私の中の千葉県は、夢の国の印象が強くて、東京ほどではないが徒歩15分以内のところにはなにかしらコンビニなりスーパーなりが、生活を送る上で必要な場所は揃っているところだと思っていた。しかし、同じ千葉とはいえども車でいかなければならないところにしかスーパーがないのはなかなか衝撃的というかもう驚くことしかできなかった。

免許の持っていない私からみたらそれだけでも驚きなのに、東京のスーパーでは絶対に目撃のすることのできないお刺身たちがあふれ、「不便の中の豊かさ」をただただ実感するのだ。

美味しそうなお刺身たちをひきつれ、味噌をわけていただき、味噌汁をつくっていると横からおじいちゃんが無造作に植物をさしだした。

「これ、おいしいから味噌汁にいれる用にあげる」

味噌汁にはほうれん草以外の葉をいれたことがない私は黄色の花がついたそれに驚く。

恐る恐る不器用ながら分けてくださったそれを見てからこいつはなにかと尋ねる、菜の花だとかえってきた。たべれるとはきいたことがあるものの、実際にはたべたことはないがどうやらとっても美味しいらしい。おじいちゃんが千葉に移住して1番感動したほどおいしいというのだ。

若干芯がのこるほどに茹でてから味噌を溶いて、さあ、待ちに待ったご飯である。

きたからにはいただき安房麦酒はおいとくとして、今回注目すべきはお刺身二種である。

さんまと金目鯛のお刺身だ。

新鮮な時にしか食べられないというさんまの刺身がスーパーで販売されているという衝撃の事実にも動揺したが、そもそも、東京では食べたことのない、金目鯛のお刺身もいる。

しかもこの量を東京の居酒屋でいただいたら一体いくらになるのだ。
少なくとも1000円は軽く超えるだろう。田舎の物価と鮮度には本当に感動させられる。

とりあえず強風にうたれて疲弊した体にお味噌汁を流し込んだ(ちなみに稲花酒造でいただいた酒粕いりである)。菜の花のお味噌汁は初めていただくが、想像と違いまったくえぐみがなく、それどころか茎に関してはなんとなく甘みも感じ取れるほどだ。暴風雨に打たれながらここまできたかいがあったよ本当に。

 菜の花とお刺身のおいしさに感動しながら茅ヶ崎以来フィルムカメラにをかってしまったことを伝えるとすてきなことに次の日は景色の良い展望台につれていってくださった。

ありがたいことに翌日は風は強いものの晴天で撮影日和だ。朝起きて窓から 入ってくる日の光がなんか良い日になることをまるでつげているようだ。
気持ちがよすぎるあまり外にでると、程よい磯の匂いが漂ってきた。すこし塩気の強いかおりは東京の空気とは違いなんとなく心地が良い。

さあ、仕事の合間を練り、はじめに連れて行ってくださたのはふぉとすぽっとは海賊と呼ばれた男のロケ地にもなった桟橋である。ここから落ちていく夕日は本当に絶景らしい。ああ、仕事さえ休みなら、、、と、そんな嘆きを喉元でこらえてのみこんだ。そのまま車で15分ほどいくと岬に到着した。

登り進めると2年前の台風被害で倒れ、部分的にぽっかり木々が景色から抜けたところが多々みられた。奥に向かうと展望台が見える、風に吹かれながら登るときれいな東京湾とその奥にうっすらと富士山が見える。

なんというか日常では島国に住んでいることなんてなにも意識しないが、日本の象徴とされる富士山と島国らしい美しい海のコンボをみると日本人であることになぜかありがたく思えてきた。

ああ、もう帰らなきゃいけないのか。寂しさは胸の奥とカメラのなかに押し込んで仕事と荷造りのためにおうちにもどった。

おじいちゃんまた遊びにくるね。
またきた時は鋸山につれていってもらう約束をしておうちをでた。

さあ、千葉も折り返しだ。次は内房からすこし北上しようか。

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