全国の高1女子とその保護者さんへ(9月中に読んでもらいたい産婦人科医からのお話)

なぜ9月中に読んでもらいたいか

HPVワクチンは全3回接種が原則で、最後の3回目は初回接種から6ヶ月後になります。

つまり、無料接種期間である高1の3月までに3回目までうち終わるには、9月末までに1回目を接種しないと間に合いません。
高2の4月以降に接種した分については自費で負担することになってしまいます。

しかも、自治体によっては、病院を受診する前に、自分で自治体へ連絡をして接種票をもらわないといけないこともあるので、思い立ってすぐにうてるとは限りません。

もうすでに9月も下旬ですので、今からだと自治体によっては9月中に間に合わないかもしれませんが、

せめて10月上旬にうてれば、3回目を3月末ギリギリにうつことも誤差の範囲内として許容できるかと思うので、

接種をお考えの高校1年生の方ははやめに、まずは自分の自治体でHPVワクチンをうつにはどうしたらよいか確認しましょう。

世界的には全2回接種が主流になってきていますが、それでも、15歳以上は3回接種が推奨されていますし、日本ではまだ年齢に関係なく3回接種が原則となっていますので、できる限り3回うつことをおすすめします。

HPVワクチンとは

子宮頸がんなどの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防できるワクチンで、BCGなどと同じく定期予防接種に指定されています。

HPVワクチンの定期予防接種の対象は小6~高1の女子で、
接種は全3回、3回目をうち終えるまでには半年かかります。

高1終わるまでに3回終えないと、高2になってからの分は自費になってしまいます。
自費だと、全3回分で5~6万円。
それが、高1の3月までなら無料で接種できます。

通知がこないがゆえに、娘さんがHPVワクチンを無料で接種できたことを知らずに、すでに対象年齢をすぎてしまっていて残念がる方を何人もみてきたので、

せめて今年の高1女子は機会を逃すことのないように、
この情報が1人でも多くの高1女子とその保護者さんに届きますように。

以下、大事なポイントのまとめです。

予防接種と検診で子宮頸がんはほぼ予防できる

・子宮頸がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染をワクチンで予防できる。

・予防できるHPVはハイリスクの一部だけだけど、子宮頸がんのリスクを約7割下げられる。

・子宮頸がんは20-30代に多く、妊娠出産前に子宮を失うことになったり、子どもがまだ小さいのに命を落とすことになりかねない。

・HPVワクチンで完全に子宮頸がんを予防できるわけではないが、がん検診によってがんになる前に早期発見できる。接種済の人も、検診は大事。

・世界中で接種が推奨されており、こんなにも接種していないのは日本だけ。(接種率1%未満)

・WHOもHPVワクチンの有効性と安全性を保証しており、日本の現状を危惧している。

・子宮頸がんだけでなく、ほかのHPV関連がんや、4価ワクチン(ガーダシル)であれば尖圭コンジローマも予防できる。


HPVワクチンは定期予防接種


・HPVワクチンは定期予防接種なので、対象者は無料で接種できる。

・定期予防接種の対象は、小6~高1の女子。

・高1の3月までは無料で接種できるけど、それ以降は計5~6万円の自己負担。

・全3回接種で半年かかり、全部無料で受けるためには高1の3月までに3回目までうたないといけない。


接種するには


・厚労省が積極的勧奨を中止しているために、多くの自治体では通知が届かない。

・なので、自分で自治体へ申請して接種票を送ってもらわないといけない。(自治体によっては、病院にある場合も)

・いつでもどこの病院でもワクチンの在庫があるわけではないので、事前に予約をしないといけない。

・赤ちゃんの時の予防接種と同様に、予診票に保護者のサインが必要。

・厚労省が積極的勧奨を中止したきっかけは、2013年頃に副反応報道があったため。

・その後の調査で、副反応と言われている症状とHPVワクチンとに因果関係は証明できなかった。

・安全性に問題はないとして、定期予防接種からはずされてはいないし、勧奨もしている。

・ただ、厚労省のリーフレットを見ると、不安になるかもしれない。

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・厚労省のリーフレットが、やや不安を煽る表現なので、岡山県は独自にリーフレットを作成しています。こちらもご参考に。

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厚労省が積極的には勧奨していないがために、

・自治体へ問い合わせした時に、「本当にうつんですか?」と確認される可能性がある。

・HPVワクチンのことをネットで調べると、不安になるような内容がでてくるかもしれない。

ですが、娘さんの将来のことを想うならば、ぜひHPVワクチンの接種を検討してもらいたいと、産婦人科医としては強く願います。


お母さんは検診を


これを読んで下さっているお母さんは、子宮頸がん検診を定期的に受けていますか?


お母さん世代は、子どもの頃にまだワクチンがなかった世代ですが、検診をしっかり受けていれば、がんになる前に早期発見することができます。

ならば、検診だけでいいじゃないか、というと、そうではありません。

『前がん病変(異形成)』の段階で早期発見できたとしても、経過観察で定期的に婦人科で診察を受けなければいけないことは、女性にとってはとても苦痛です。

がんにならなければいい、というわけでは決してありません。

『親子で予防 子宮頸がん 母は検診 娘はワクチン』

これを忘れずに。

娘さんも、ワクチンをうって終わりではなく、20歳すぎて彼氏ができるお年頃になったら、検診を受けるようにすすめてあげて下さい。

もし、産婦人科なんてお産以来受診してないわ、という方いらしたら、ぜひ一度頸がん検診を。
子宮頸がん検診には補助をだしている自治体が多いので、調べてみて下さい。

無料接種期間をすぎてから後悔することのないように、1人でも多くの中学生~高校1年生の女の子とその保護者さんにこの情報が届きますように。

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