短編小説『無敵の毛布』成瀬編(お題:ブランケット)
あおぞら公園に「人間の指」が落ちているから見に行こうとヨシオに誘われたのは、授業を終えて、教科書で重くなったランドセルを背負おうとした時だった。季節は夏で、あと数日で夏休みだった。
「え、指って誰の指」
「あの噂の人のだよ、たぶん」
僕は少し考えたが、断ると怖がっていると思われるんじゃないかと子供じみた考えが頭をよぎって――実際、子供だったのだけど――、折衷案を出すことにした。
「まじ、じゃあ大ちゃんも誘おう」
僕らは仲の良かった大ちゃんを誘って、三人であおぞら