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#14 マイクロフォーサーズでも撮り方次第で十分ボケますよ、という話


前置き

 これから書くことは、お散歩や旅行などで身近なスナップ写真を撮ることを想定しています。当然ですがボケ量だけが写真表現の全てではないこともご承知おきください。また「写歴」の長い方はよくご存じのことなので、スルーしていただいて構いません。

ハイスペックな機材かどうかで写真の出来栄えは左右されないと思います。

 ここでいう“出来栄え”とは、高価な超望遠レンズで遠くの被写体を捉えることや、連続撮影のコマ数制限によるシャッターチャンスの機会喪失などといった物理的な話ではありません。高額でハイスペックな機材を使ってクリアする問題なら、それはお金で解決できます。今回は、センサーサイズの違いだけで写真のボケ量は語れないということに特化してご紹介したいと思います(レンズ性能による「ボケの質」についても除外します)。
 ちなみにちょいちょい拝見する「PHOTO YODOBASHI」では、たとえエントリー機であっても、手練れが使うとめちゃくちゃカッチョイイ作品が撮れることを実感させられますので、ご参考になさってください。

「フルサイズセンサーのカメラなら背景がボケた写真が撮れる」は本当なのでしょうか?

 結論から言うと、本当だけど違います (´・ω・)?
確かに写真のボケ量は、カメラに搭載されたセンサーの大きさに左右されます。フルサイズセンサーのカメラが普及した今、フルサイズ機なら背景がボケた綺麗な写真が撮れるけれど、センサーがひと回り小さいAPS-C機では、フルサイズほどボケ量のある写真は撮れない、フルサイズの4分の1の面積しかないマイクロフォーサーズ機ならなおさら難しい、ということをあちこちで見聞きします。しかし、異なるセンサーサイズによる背景のボケ具合の差は「同じ被写体を、同じ画角のレンズ(換算値が同じ)で、同じ絞り値に設定し、同じ距離から撮影した場合の比較」です。写真表現において背景がボケればボケるほど良いと言うのであれば、FUJIFILMのGFXシステムを使えば、フルサイズよりも大きなセンサーなので、さらにボケボケの写真が撮れます。

このようなシチュエーションなら
ボケ量はフルサイズの勝ち!

写真の特性を理解すれば、センサーサイズに関係なく背景がボケた写真は撮れます。

 写真(カメラ? レンズ?)の特性を理解していれば、撮影の際に少し工夫するだけで背景(だけでなく前方も)がボケた写真が撮れるようになります。
その特性とは、
 ① 被写体に近づくほどボケる(*1)
 ② レンズの絞りを開けるほどボケる(*2)
 ③ 同じ画角のレンズでも開放F値が小さい方がボケる (*3)
 ④ 広角や標準レンズより望遠レンズの方がボケる
(*1)レンズの最短撮影距離の性能に影響される
(*2)絞り8と絞り2.8で撮り比べると後者がボケる
(*3)仮に開放F値が2.8と1.4の50mmレンズが2本あり、双方のレンズを開放絞りで撮影すると後者がボケる(理屈は③と同じ)
です。

マクロフォーサーズのレンズは
総じて最短撮影距離が短いものが多く、
マクロレンズ的な使い方で
背景をぼかすことが可能です。
当然フルサイズよりもアップの写真になります。
センサーが小さいマイクロフォーサーズなら、
明るい望遠レンズでも比較的軽量なので
持ち歩きも楽ちん。
フルサイズと同等のボケ効果のある
写真が撮れます。

 実際に写真を撮るときは、前後左右に移動しながら被写体との距離や角度を変えて構図を決めます。装着するレンズも、その日の目的や気分によって広角だったり望遠だったり、ズームだったり単焦点だったりと変わります。そこに撮影者のセンスやテクニックが反映される訳ですから、違う人が同じ場所で同じ被写体を同じ時間に撮影しても、写真の出来栄えは変わります(当たり前!)。

まとめと作例紹介

 マイクロフォーサーズ機のデメリットのひとつとしてよく取り上げられる背景のボケにくさについて、解決方法があることをご紹介しました。全く同じ条件なら確かにフルサイズ機の方がボケます。私自身この場面ならフルサイズ機で撮影した方がもっと主体を浮かび上がらせられるのに、と思ったことがあります。しかしフルサイズ機とて、撮影中にあのレンズがあれば…と悔やまれることはしばしばあるはずです。
 つまり、写真とはいつも他者と同じ条件で撮り比べをしている訳でも、あらゆるレンズを取り揃えて撮影に出向く訳でもありません。詰まる所、限られたシチュエーションでいかに自分のイメージ通りに仕上げられるかだと思うのです。
 とにかく高性能なフラッグシップ機が欲しい、メカはチンプンカンプンなのでオートで綺麗に写ればそれでいい、などカメラを選ぶ基準は人それぞれです。デジタルカメラは高価な買い物ですし、一通りレンズなども揃えていくと、出費はさらにかさみます。
 私の場合はコンパクトで持ち運びが苦にならず、コスパがよくて高性能、さらにセンサーに付着するダスト問題がほぼ解決しているという理由で、SONYのフルサイズミラーレス機からマイクロフォーサーズ規格のOM SYSTEMに乗り換えました。「これからもOM SYSTEM一筋で!」なんてど根性論を言う気はありませんが、今のところ概ね満足しているのでこの機材でお気に入りの写真が撮れるように頑張ります(たぶん)。
 参考になるか分かりませんが、マイクロフォーサーズでボケを強調した写真をいくつか貼り付けて終わりにいたします。

OM-1 / M.ZUIKO 17mm F1.8(換算34mm)

17mmといえども開放値がF1.8と明るく、
被写体に寄り気味で撮影すると、
遠くの背景もきれいにボケます。
OM-1 / M.ZUIKO 17mm F1.8(換算34mm)

小さい花を大きく撮るために
近づいて撮影しました。
OM-5 / M.ZUIKO 20mm F1.4(換算40mm)

背景は砂浜と海と防波堤。
絞り開放で撮影しましたが、
状況説明ということでは
もう少し絞り込んだ方がよかったかも…
※手前の草を入れず
砂浜と海だけの写真も撮っているので、
組み写真的に見せればこれでも可?
OM-1 / M.ZUIKO 20mm F1.4(換算40mm)

写真は引き算とよく言われますが、
背景処理は大事。
撮影機材を言わずにこの写真だけを見てもらって、
どれだけの人がセンサーサイズを
言い当てられるでしょうか?
OM-1 / M.ZUIKO 25mm F1.2(換算50mm)

盛大なフレアは
光を拡散させるフィルターを使用しているためで、
決してレンズの性能が低いわけではありません。
OM-1 / NOKTON 25mm F0.95(換算50mm)

「豆苗」
開放絞りがF0.95という明るさと、
最短撮影距離0.17mが織り成す世界。
(実際はもっと寄れた)
OM-1 / M.ZUIKO 40-150mm F2.8(換算80-300mm)

明るい望遠レンズでも
コンパクトで軽量なところが
マイクロフォーサーズのいいところ。
調べてないけれど
フルサイズ用のF2.8通しの
標準レンズ並みのサイズ感?
これなら十分背景をぼかした写真が撮れます。


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