チャプチェ

チャプチェが好き。

適当に作っても絶対に同じ味になるところが好き。

米もビールもすすむ。

というかチャプチェをのせたご飯でビールがすすむ。


うちの母親は韓国が好きで、

実家の食卓にもよく韓国料理が並んだ。

甘辛いチャプチェでご飯を食べるのが大好きだった。

ただ、具の割合が、肉1野菜9みたいな感じで、

成長期真っ盛りのわたしにはやや物足りなかった。

そして、入っている玉ねぎが大きかった。

火が入りきっていないしゃきっとした玉ねぎのおいしさは

20歳を越えてわたしもわかってきたけど、

あの頃はどうにも苦手で、

大皿から菜箸で牛肉と春雨だけをすくえるよう試行錯誤していた。


春雨はポテンシャルが高い。

穀物なのになんであんなに恐ろしく米が進むんだろう…。

そしてどう味付けてもおいしくなる。


わたしがいまつくるチャプチェは、実家の母が作る甘辛いものとはすこし違う。

ごま油をたっぷりめにいれて、肉とにんにくを炒める。

肉は、なんでもいい。

牛肉がおいしいけど、一人暮らしの冷蔵庫にいつも牛肉があるわけはない。

わたしはよく小分けにして冷凍したひき肉を使う。

あの頃は大皿から肉を拾ってたけど、

チャプチェの主役は野菜と春雨だといまは思う。

肉はダシの素。合い挽き肉はいい脂が出てそれが旨味になる。


肉の油が出たところに野菜をいれる。

これもなんでもいい。

今回は薄切りにした玉ねぎと細切りのピーマン、

手で割いたエリンギを入れた。

エリンギを手で裂いたのは包丁を使うのが面倒だっただけ。


野菜にある程度火が通ったら、

茹でておいた春雨を入れて、

中華だしかダシダ(韓国牛肉だしの素)、しょうゆで味つける。

ここでいれる中華だしもなんでもいい。

我が家はダシダを常備しているからよく使うけど、

今回は試しに買っていた創味シャンタンを使ったし、

鶏ガラでもいい。うまくなればなんでもいい。

味が全体に回ったら、

春雨一本だけをよくさましてから手のひらに置いて、味見をする。

この一本で、米一膳いけてしまいそうになる。

その欲をぐっとおさえて、切っておいたニラを入れる。

さっと炒めたら、火を止めて、炒りごまを散らす。


湧き上がるときめき、いますぐ立ち食いしたい衝動を抑えて

皿に盛り、炊き立てのご飯の横に並べる。 

あとはトマトとニラの味噌汁。

しょっぱくてこうばしいチャプチェを

炊き立てのあったかいごはんに乗せて、

ハフハフいいながらかきこんで

冷たいビールをぐいっと飲む。

ニンニクの風味、しゃきっとした玉ねぎ、ニラの香り、肉の旨味を存分に吸った春雨……

自粛期間、自分の作るご飯がうまくてうまくて、幸せ太りする毎日。

自粛期間て、なんの自粛もしてないな、わたし。 









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