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3年間住んだ家に。ありがとう。

わたしは明日3年間住んだこの街を出る。
同じ市内だけど、広い市の端と端なので、本当に違う街に住むことになる。

積み上げた段ボールを見ていたら、すごくセンチメンタルになって涙が出てきた。
うん、よく頑張ったなあ。よく頑張った。

毎日何があってもこの家に帰ってきて、ご飯を作ったり買ったものを食べたりして寝て、テレビを見て笑って。たまに泣いて。
後半は泣いてばかりだったな。

ここは職場の寮で、くじ引きで順番に部屋を決めたんだけど、わたしはその日いた人の中で一番最後の番号だった。つまりここは余った部屋だった。

予定していた人数から1人減ったらしく、最後に余ったのは2部屋だった。
本当は限られた時間内で決めなければいけなかったんだけど、担当の人が「最後になっちゃったし納得するまで2つの部屋を見てきていいよ」と言ってくれた。
もうひとつの部屋の方が病院から近い棟にあったけど、なんとなく勘がこっちだと言っている気がして、、この部屋に住むことになった。

引っ越しの日は大雪で、寒くて寒くて荷解きもそこそこに布団に入って寝た。部屋のほとんどの家具は1人で組み立てた。

仕事をはじめてからは毎日へとへとだったけど、朝の出勤前、扉を開けると見える富士山が大好きだった。
あったかい時期の夜はベランダで団地のあかりを見ながらお酒を飲んでいた。
休日の朝外に出ると、私以外の人が住んでいるのか疑うくらい、しんとした空気が好きだった。
広いキッチンでは本当に色々な料理を作った。簡単だけどお弁当も頑張っていた。
一本だけ生えている桜の木の下にベンチがあって、そこでコーヒーを飲むのが好きだった。その下にいる猫の親子を眺めるのも好きだった。
家までの坂を登り切って振り返って、街の景色を見るのが大大大好きだった。月明かりも、木のざわめきも、街の明かりも、本当に好きだった。ここで暮らすことができて幸せだと思っていた。

この部屋で自分の力で暮らしているということが、すごくすごく大きな自信になっていた。


だらしなくて、いつもきれいにできなくてごめんね。
いつも迎えてくれてありがとう。
前の家を引っ越す時も思ったけど、一人暮らしだと、家が自分のことを一番よく知っていて、見てくれていて、迎えてくれる存在だった。
いつからか帰るとほっとする場所になっていた。
この家に暮らせて幸せだった、ありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。見守っていてくれてありがとう。
予定より早く出ることになってごめんね。

3年間、ここに住んでよかったなあ。
こうして思うと、何気なく過ごした3年間も、やっぱりかけがえのないものだったんだなあ、と思う。
次に来る誰かのことも、よろしくね。


センチメンタルになりつつ、もう家との別れは辛いから次の次の家は持ち家にしようと密かに思っている。マンション買いたいなあ!



今日の一曲
馬場俊英/アイルビーバック

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思い出が詰まったベランダにさよなら
涙が溢れそう

見慣れた街や通い慣れた道が
いつもと違う なにかが違う
振り出しに戻ってやり直し

明日はきっともっと素晴らしい
だから必ずいつの日かアイルビーバック

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