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『さよなら絵梨』を読んだ
私はあまり知識のない無知無知オタクなので語れるものも少なく、「面白かった」で終わるのが正しい気もしますが……せっかく「気にせん、続けよ」と仰せ付かったのでちょっとだけ喋りますね……。
1.作中全部がカメラ越しの物を漫画でやってくる入れ子構造
カメラ越しなのか肉眼なのかが曖昧に描かれている。これ、普通に映像でやっても分かりにくいだろうところを漫画媒体でやっているので、更に分からなくなっている。
2.ストーリーも入れ子になる
読者が「あ、これ入れ子だ」と感じるタイミングで物語も入れ子になる。話の区切りが断層のようにスパッと切れてズレて、中身の模様が見える感じ。
これが何回も繰り返されるので、「次はどこで切れるか」ずっと気になってページをめくりたい気持ちになる。
3.要素の配置
カメラ、映画、爆発、「ひとつまみのファンタジー」というワード、キャラクターひとりひとりの人物像……みたいな要素が、全部納まるべきところに納まっていて、無駄なく最大の効果を発揮している。
こんなに綺麗に組み上げてるけど、多分これ意識されてない。図面引いたのが一流建築士だから必然的に一流設計だよねって感じ。ルックバックの時も同じ事思ったけど、ルックバックの時より取り合わせが雑なのにそれでも整ってるのがヤバい。
4.内容は凄く普通
取り合わせが雑、と書いたけど、やっぱりそこがルックバックと一番違うところだと思う。話だけ見たら凄くありきたり。
母の死、ボーイミーツガール、吸血鬼、爆発。
漫画少女の人生一点突破だったルックバックと違って、それこそ『B級映画』みたいに、手垢まみれの素材を沢山盛り込んで作っている。それを完全に魅せ方だけでこんなに豪華に仕上げてんのヤバいなぁ……と思う。
TLで誰かが「一回は隅々まで味わって見るし満足はするんだけど、一回みたらもういいやってなる映画」みたいなことを言っていたのを見かけた気がする。正にそれ。
この漫画、「物語」じゃなくて「体験」なんだよな……。
5.漫画が死ぬほど上手い
体験として受け取れるくらい没入できる一番の理由が『漫画が死ぬほど上手いこと』だと思う。結局それ。構成が一級建築士なのはもう言ったけれど、絵も上手いし見せ方も上手い。読者がどこ見てどんな気持ちになるか全部分かって描いてる。は~~……凄えなあ……。
まとめ
死ぬほど上手い漫画読んで良い感じに疲れました。読後感は人によると思うけれど私はスッキリ爽快になれたので、読んだ後は快眠でした。
未読の方は寝る前に読んだら良いんじゃないかなと思います(※個人の意見です)。
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