見出し画像

惑星の海

うだる暑さに目が覚めると、私は海に沈んでいた。

見上げると太陽。

しかし熱の源はあれではないようだ。


■私はどこまでも深く落ちていく。

太陽のもとに生きた「私」は一粒にの「意識」を残して

溶け暗闇のなかにゆっくりと満ちていく。

私は暗く、深く、温い海になる。


■「意識」はただただ私の海を沈んでいく。

途中の銃声には気づかないふりをして。

剥かれたマネキンたちが逆さまに漂っているのを見た。


それにも私は気づかない。


■私の海の奥の奥でクヌルプは

始まりの恋を思って泣いていた。

これは「私」、私の海で、私が海だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?