Invert Hourglass 1st EP “Leaving. And Beginning”についての作曲者目線での制作話的な物
初めまして。
新潟を中心に活動しているInvert Hourglassというバンドで、ベースとプロデュース全般を行なっております、Komaと申します!
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先日2023年4月29日(土)に本バンドの1st EPである“Leaving. And Beginning”をリリース致しました!
ご視聴していただけましたでしょうか…?まだの方は是非下記リンクよりお願いします!
現在YouTube上にて、リードトラックであるTrack6
“Curse of my hands”のMusic Videoを公開中です!
今回の記事についてですが
こちらの1st EP “Leaving. And Beginning”について作曲者である私の視点から世界観や、エピソードを語ろうと思います。
※あくまで、本当に自分目線としての話になるのでその点ご注意下さい。
これを見てから、改めてEPをお聴きいただくことでさらに没入感が増すのではないかなと…!
何卒最後まで読んでいただけると幸いです!
それでは本題に入りますので、よろしくお願いします!以下のような構成で進めます。
1.世界観の前提
まず本EPの主軸として、本バンドの前名義である「Curse of my hands」時代の楽曲の世界観について。
ご存じの方もいらっしゃるとは思うのですが、
Invert Hourglassは2021年3月に「Curse of my hands」というバンド名から改名して始動しました。
(懐かしいな…)
今はCurse of my hands時代の楽曲YouTube上にのみ残っております。
そして、今回のEPの世界観の主軸となる曲ですが、Invert Hourglass改名後も再録を行なっている「Scabiosa」という楽曲です。
この曲はCurse of my hands時代にメンバーが大多数抜けてしまった後、自分が取り残された時に作ったやつです。
題名となったScabiosaの花言葉は「I have lost all(私は全て失った)」というもの。当時の心境に合う花言葉を持つ花を曲名にしました。
信頼している人に裏切られて殺された主人公は、復讐のために蘇るという歌詞の内容ですが、「どんな状況に陥っても、意思がある限り何度でも立ち上がる」ということを伝えたくて作りました。
他の曲で言うとこちらの「Moonshine」という曲。この曲の主人公は、「過去に大切な人が赤い満月が浮かぶ夜に殺されてしまい、その月が浮かぶ日が来るたびにそれを思い出す。取り戻せない物のために戦う自分を恨む」というテーマです。(実はInvert Hourglass改名後の初期にライブでやっていました)
ここでようやくCurse of my hands時代の世界観の全体のテーマについて。
「過去に対して強い後悔心や執着がある人物の葛藤を描いたもの」です。
曲ごとに主人公がいて、それぞれ境遇が違います。
それに対して今回のEPである“Leaving. And Beginning”ですがこのScabiosaの主人公を中心に視点を当て「過去への執着から脱却する。ーCurse of my handsの世界観からの脱却を描く。そして先に進み始める」ということをテーマとし、EP名もそれに合わせて決定しました。
(Curseの世界からLeavingして、そこからBeginningするよ!ということです)
今はもう活動していない前バンドの世界観を何故ここまで説明したのかというと、後ほどの説明で必要であるからです。長くなってすみません!!!
2.各楽曲の説明
ここからは、 “Leaving. And Beginning”の各楽曲についての説明です!
トラック順に説明します。
Track1:Nir
EPの挿入曲です。
曲名は「Nirvana」という単語から取っています。和訳すると「涅槃」です。(苦しみとかの煩悩から抜ける的な意味)
Curse of my handsからのシガラミから脱却するのが今作のテーマなので、
まずNirvarnaという単語を使おうと思ったのですが…
「待った、これから涅槃し始めるんだよな…?」となりNirvarnaという単語をそのまま使うのに違和感がありました。
なので文字を途中でぶった切って、まだ涅槃しきれてないという意図で
「Nirvarna」⇒「Nir(ニル)」という曲名に変更しました。
サウンド面では、アトモスフィアノイズみたいな音とかDubstepで使われるワブルベース系を主に使用しています。
ちなみに私の好きな音楽ジャンルの一つとして、Melodic Dubstepというジャンルがあるのですが、だいぶInvertの曲制作に影響しているかも…
Track2:Berserker
前作のLaikaとのスプリットEPである
「Search for Hope ,In this Chaos」で初収録された楽曲です。本EP用にサウンド面を再度ミックスをやり直しました。
上記スプリットEPの制作時、
本当は当時全く別の曲を収録するつもりだったのですが…その曲の雰囲気が「このスプリットEPに入れるにはちょっと違うかも?」
となり急遽作ったのがこのBerserkerです。
テーマは単純に「Curseの世界で頭おかしくなってる人が色々抑えきれずに狂戦士になってしまった」という解釈でOKだと思います!
元ネタは、キングダムハーツシリーズのXⅢ機関のメンバーである「サイクス」が使用する「バーサク」状態です。(詳しくはGoogle!)
(自分の曲のテーマや世界観は結構ゲームから引き抜いてるものが多めです)
曲調としてはだいぶアグレッシブな仕上がり。
オクターバーとか、Alpha Wolfが好きな人はハマりそうな要素入れてます。
最後の落としですが、「頭おかしくなった感じ」が上手く表現出来てるのではないでしょうか…?凄く気に入ってます。ライブでも凄いウケが良い一曲で、個人的にめちゃ楽しい!
Track3:Nothing is Permanent
以前、シングルで配信されていた一曲です。
EPの収録に伴いこちらも再ミックス。
「諸行無常」なり。
テーマは曲名の通り、「永遠に続くものはない」Scabiosaの世界で仲間に裏切られたり、Moonshineで大切な人殺されたり
ずっと続くと思っていた物が壊れた時の心境を、暗くイメージしています。
曲名の元ネタですが、原神の七七というキャラクターの攻撃ボイスに「諸行無常」という言葉を発している箇所があったので曲名をそれにして作り始めました。
「イントロのスローテンポ部分は不穏な雰囲気から入る。少しづつ途中から早くなり、気付いた時には疾走感があるビートに切り替わることで、スピード感をアプローチする」ということだけ最初のコンセプトとして決めて作った感じです。
サウンド面では、最後のブレイクダウンパートで鳴っているファミコンの8bit音が歪んでいるような音がありますが、これはScabiosaでも同じ感じの音が使用されています。
これがあるだけでもだいぶ雰囲気変わりますね。楽器隊の刻みは難しくしないで超シンプルにしたんですが、ライブでただ単純に頭を振りやすいようにする為です。
自分のスタンスとして、あまり難しい事をしたくないので「シンプルかつカッコいい」をなるべく心がけるようにしています。
Track4:End of the Spiral
Berserkerと同じく前作のLaikaとのスプリットEPである「Search for Hope ,In this Chaos」で初収録された楽曲です。
本EP用にサウンド面を再度ミックスをやり直しました。
ここからこのEPの雰囲気がエモーショナルな方向にガラッと変わり、クライマックスへと少しずつ向かっていくことになります。
曲名なのですが、Curse of my handsから改名するときにバンド名をいくつか候補を出していた時の一つとして、この「End of the Spiral」がありました。
そして没案のこの名前は曲名とか何かの音源名で使おうということになりました。
曲調としては、Cマイナーキーでツービートから始まってサビでドラムの手数を抜いてパッドやストリング系の音を詰め込み、アトモスフィックな壮大サウンドを意識しています。
(音源化してないのですが、初期Curse of my handsで似たような曲を作っていて、実はそのテイストをInvertに持ってきたのがこの曲)
特に2:45~のパートが個人的にお気に入り。
主な構成としては、
①歪んでいる電子ベースにトレモロをかけ低音を支えると共にリズム感を作る。
②オクターブ高めのパッド
③聴こえにくいくらいの音量のリバーブガン増しベル
④リバーブ強めのスネア(やりすぎない程度)があるドラムフレーズ
⑤薄く入っているクリーンギター(2:59〜左側と、3:17右側)
⑥女性ボーカルのコーラス
⑦Vo.Yukiのスクリーム
自分が大事にしているスケールの大きい空間をとても強調しつつ、ここにゲストボーカルのRiNaの美声によって美しく哀愁が漂う雰囲気が更に増したのではないかと思います。
ちなみに基本的に女性ボーカル入れようと言い出したのは弊バンドのVo.Yukiで、この雰囲気の中で叫ぶスクリームがめちゃくちゃマッチして、アイデア出してくれて本当に感謝しています。
この曲は制作段階でメンバー間でめちゃくちゃ揉めていて、苦労した曲で…。
こここうじゃないとか、構成一から組み直したりとか…
本当に皆さんに届けられて良かったなと。思い入れ深い一曲です。
Track5:Leaving
Track6:Curse of my handsの挿入曲となっている一曲です。
Twitter上にて、Curse of my handsのMV告知で使用されています。
Curse of my hands自体はかなり前に完成しており、ライブでもかなりの回数やっているのですが、音源として出す時には「Curse of my handsにそのまま繋がるSE的が欲しい」という話を以前からしており、今回のEPに合わせて制作しました。これが一番最後に作った曲です。
End of the Spiralが明るく壮大でエモーショナルな終わり方したので、そこを少し沈めた後Curseにそのまま繋がるようにするという縛りがあったので、サウンド的なイメージに困ることはありませんでした。
イントロでは一旦低いパッド音と高音ピアノで入り、明るい雰囲気で終わったEnd of the Spiralから一気に暗めで落ち着いた雰囲気にチェンジ。
中盤以降は音数を増やしています。一番地味にこの曲の構成を支えているのは0:59〜1:09に鳴っているコード鳴らしているピアノ。
終盤はCurse of my handsのイントロでも使用されている低めのPluck音でリズムを作り、次の曲への導入を煽りつつ、主張が控えめなピアノとクワイア音によって「この世界からの脱却」のような感じをイメージしています。「離れていく寂しさと希望」です。
Track6:Curse of my hands
今回のEPのリードトラック、そしてクライマックスであるCurse of my handsです。
※この曲の解説中に前バンド名義を指して説明するときは「Curse時代」と記載します。曲名の話してるのか、前体制の話してるのかゴチャつくので…。
自分のバンド活動の原点でもあり汚点とも言える「Curse of my hands」から脱却の為に作った曲。思えば、Curse時代の活動は度々方向性的な食い違い等でメンバー体制が安定せず、思ったように活動できない時期ばかり続いていて、悔しい思いばかりでした。
Invert Hourglassに改名後も、1年目はそのシガラミが続いているような状況でした。だからこの曲を作ろうとした事を決断しました。
MVが現在YouTube上にて公開中ですが、実はCurse時代の伏線回収がされています。
MVの冒頭には、何かしらの意味がありそうな花が…ってここまで見てくださった方々にはもうお察し付くと思います。Curse時代の楽曲であるScabiosaです。今回のEPはScabiosaの主人公に焦点を当てているという事を象徴するシーンになっています。
続いてこちらの赤い月…こちらも上述のMoonshineという曲のオマージュです。前述してはいますが改めて、このMoonshineという曲は「赤い月が浮かぶ時に、もう戻せない過去の痛みや苦しみを思い出してしまう」という趣旨になっています。今回のCurse of my handsで「変えられない過去にもう苦しめられないように」という思いを自分の中では込めています。(シーンのアイデア自体は弊バンドVoのYukiのものです)
最後のブレイクダウンパートでは、目まぐるしく動くシーンの中にScabiosaが赤い月に重なって映し出されてます。過去のフラッシュバックみたいでヤバいっすよね…マジで完成して初見で声上げたシーンです。
今回のMusic Videoですが、
同じ新潟の大先輩バンドであるa crowd of rebellionのドラムの近藤岳さんより制作にご協力頂きました。Curse時代の世界観を的確に表現していただいて、本当に嬉しい限りです…!
曲自体の話に入ります。
イントロではPluckとピアノを中心とした悲壮的なメロディーから、シンプルなギターワークで演奏が始まります。PluckはルーツであるMelodic Dubstepというジャンルで多用されている物で、頻繁に使用する音色です。
イントロ終わってドラム・ベース・ボーカルのみのパートの裏に、めちゃアンビエントな音が紛れていますが、これはギターに対してホールリバーブをゴリゴリにかけた音です。他の楽曲もよく聴くと頻繁に入ってます。
そしてサビ部分。
End of the Spiralと同じくゲストボーカルRiNaに参加していただいてます。本当に彩ってくれるライン歌ってくれて感謝しかない…。サビ後半、右側部分に聴こえるピアノリフがこっそり自分が好きな箇所です。
最後のブレイクダウン。3連符ピアノと空気感あふれるバックサウンドに対してLowD#チューニングでギターの轟音鳴らしてます。「エモーショルさと凶悪さの2面」ということを念頭に置いたパートです。ここ実はあまり強調していないように聴こえますが声をシンガロング録りしていて、よりボーカルの空気感が増すようにしています。
3.最後に
ここまで見てくださってありがとうございます。元々自分がバンドを始めたのは、高校生の頃に当時大切にしていた物を何もかも失った時期があり「このままの生き方じゃダメだ」と思ったからでした。
別にド陰キャとか言われても構いませんが、周りの同級生は昼休みに体育館にバスケしに行ってる中、教室の隅っこで当時サブクスは無かったのでSoundCloudでずっと曲をDigってたあの時期は間違ってなかったと確信しました。
そして今こうして過去の後悔だったり、シガラミに対しての想いや考えを改めてこのEPを制作を通して振り返ることができて本当に良かったと思っています。
ただ、一つだけどうしても心残りはある。
それをなんとしても晴らしたい。
とはいえ、すぐにはできない物です。
実はもうすでに次回作以降の方向性は決まっていて、現在楽曲制作に取り組んでいます。より自分の頭の中の世界観が強くなる、とだけ言っておきます。その晴らしたい物も、近いうちに形に出来ればなと思っております。
今後の展開、ぜひ楽しみにして下さい。
初めてのnoteで上手く書けない点もあったのに関わらず、ここまで見ていただいて本当にありがとうございました。🙏