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小林市が企業誘致に取り組む背景〜小林市商工観光課〜

皆さん、こんにちは。
宮崎県小林市役所経済部商工観光課の山下文章です。

生まれも育ちも小林市ですが、大学進学時に初めて県外へ転出し、祖父が亡くなった時にUターン転職して小林市役所で働き始めました。

小林市のすきむらんど大つり橋にて

小林市役所では「ほけん課」「農業振興課」を経て、現在は経済部の「商工観光課」に所属しています。私が現在、なぜ商工観光課で「企業誘致事業」に取り組んでいるのか、その目的と背景をご紹介したいと思います。

なぜ今、小林市で企業誘致に取り組むのか?

小林市は東京(羽田空港)から宮崎空港または鹿児島空港経由で片道2時間半、福岡空港からは片道1時間40分の九州のやや南、宮崎県の西部に位置します。

宮崎県小林市のアクセス情報

畜産・農業が盛んな小林市は、史上初内閣総理大臣賞を3大会連続で受賞の「宮崎牛」の生産地として知られる他、完熟マンゴーやメロンなどの産地としても有名で、美味しい食が味わえる街でもあります。

職種の選択肢を増やし、若者が活躍できる街へ

この地でなぜ、小林市が企業誘致に取り組むのか?
ズバリ「職種のバラエティを増やし、若者が仕事を選択できる機会をもっとつくりたい」といという強い思いがあるからです。

畜産・農業が基幹産業として小林市の経済を支えてくれている一方で、IT系やクエイティブ系など、大都市では一般的な職業として知られている仕事の採用機会が少なく、特に文系・理工系卒の小林市出身の若者が地元に帰って働く場を選べる選択肢が豊富にないという現実があります。

小林市役所の執務室にて

私自身、大学進学時に転出して28歳まで県外で過ごしましたが、地元に戻って来たいと思った時、学んだスキルや経験を活かせる職場が多くありませんでした。当時は「地域おこし協力隊」や「ふるさと人材バンク」といった制度もありませんでした。ちなみに、現在は地域おこし協力隊制度などを通して、大変ありがたちことに小林市にUIターンし、起業する若者が増えてきています。小林市の起業家人材については、今後このnoteでも紹介する予定です。お楽しみに。

ユニークな取り組み、新しいことに挑戦できる街

小林市はこれまで、移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」(※下記動画)や高校生と共創した地域のテーマソング、お肉のフリー素材サイトの公開など、さまざまな手法でプロモーションを実施しています。

小林市に住んだことがある人、知っている人、知らなかったけれど上記のプロモーション等を通して初めて知った人。小林市との関わり度合いはさまざまですが、誰かがどこかで小林市と接点を持ってほしいと、ユニークなプロモーションを積極的に行っています。他の地方自治体が取り組んでいないことも多く、新しいことに挑戦しやすい街でもあります。小林市や市内企業と連携して、新事業に取り組みたい!という企業にもぜひ来てほしいです。

ある日、「ふるさとの小林市へ帰りたい」「小林市で暮らしてみたい」と思ったときに、働く機会の選択肢が多く、若い世代に魅力的な雇用の場があるほどUIターンはもっと身近になるはずです。

多くの若者が小林市で働き、輝いてほしい
その「場づくり」をするために今、企業誘致による支援体制の充実を図っているのです。

アニメ人材の育成でテレワーカーを増やす

小林市は2021年8月20日、株式会社RICE FIELD(本社:東京都港区)、と小林まちづくり株式会社(本社:小林市内)と地域活性化包括連携協定を締結しました。

この連携協定は、アニメ制作人材の育成やアニメを活用した観光PR等を目的としています。小林市にとって、初めての試みです。

多くの世代に親しまれる日本のアニメは、世界でもファンが多く、注目度も人気も高い産業です。アニメを見る・読むだけでなく、仕事として関わることができたら、もっともっと日本のアニメ産業を盛り上げられるのではないでしょうか。

コロナ禍でテレワークが進み、都心のオフィスに通わずともインターネット環境さえあれば、どこでも働ける多様な時代になりました。小林市では、自分らしい働き方を実現し、地元に住み続けることができるテレワーカーやフリーランスを育成・支援、県外の仕事をリモートワークで受注できる市民を増やす取り組みにも力を入れています。

以前なら、アニメ産業に関わる仕事は都会に出ないとできなかったと思います。しかし、小林市でも関わることができるようになるのです。
このように、これまで小林市になかった産業・職種を誘致することで、街に新しい風・新しい職場・新しいキャリアを臨むことが期待できます。

そういった人材が観光等の既存産業と連携し、技術を地域に還元したり、仕事の地産地消が生まれたりしていくことで、地域経済の活性化や新たな産業振興へつなげるモデルケースになればと考えています。

新たな人材育成・雇用創出につながる取り組みにご興味ご関心のあるIT企業が、小林市を進出先に選んでくれるよう、商工観光課では伴走支援に力を入れていきます。

生駒高原(シンセン!こばやし!フォトコンテストの優秀賞作品)

東大との包括連携、先端科学で地域課題解決を

小林市は2021年6月28日、東京大学先端科学技術研究センター(先端研)とも連携協定を締結しました。先端研は、東京大学で最も新しい附置研究所です。

東大先端研・神崎亮平所長のコメント:
小林市様と先端研との包括的連携協定を通して、広く子供たちの育成や、産業の発展や活性化を一緒にすすめさせていただくことを楽しみにしています。

東大先端研ニュースより

この連携の目的は、先端科学によって地域課題の解決を目指すこと。

人口減少対策、地域産業の発展、健康・教育の充実、活力ある個性豊かな地域づくりといった、市の抱える課題について同センターが有する研究成果や知見を活用しながら、小林市の将来(2040年)を見据えた課題解決に向けて取り組んでいきます。

東大先端研の先生方は既に、多忙なスケジュールの合間を縫って何度も小林市に現地視察へ訪れており、今後の具体的な取り組みについて協議している段階です。2022年度は「スマート農業の導入」「検診受診率の向上」「eスポーツに地域活性化」の各事業の実証実験の実施に向け、検討を進めています。

小林市には大学がありません。
しかしながら、東大と連携することで、アカデミックな知見・技術を生かしてより新たな事業を展開できます。地域課題の解決をIT等の新技術で取り組みたい企業にとっては、まさに魅力的な街ではないでしょうか。

そして、その先にはIT技術を使った最先端の取り組みに従事する雇用機会の創出を目指しています。アニメ・観光・PR・ITといったさまざまな領域でさまざまな人材が活躍できる街をつくり、若者がもっと輝ける小林市となるように支援体制を充実させていきます。

JR小林駅(シンセン!こばやし!フォトコンテストの優秀賞作品)
須木ままこ滝(シンセン!こばやし!フォトコンテストの優秀賞作品)