マガジンのカバー画像

地方から眺めた社会

36
愛媛県南予地方に暮らしながら、社会の在り方を眺めて思ったこと。 400字程度の短い記事を月に1-2本投稿しています。 最近は不定期更新。
運営しているクリエイター

#南予

同調と対話

いつだったか「田舎は同調圧力鍋だ」という言葉を発する方がいらっしゃいました。 何となく同意できるような気がしつつ、聞いた時には深く掘り下げてみなかったこの言葉。 つい最近になって、この「同調圧力」を生む要因に思い至りました。 気付きを得られたのは、哲学対話の最中にどうも問いが深まらないなと感じる場面から。 そうした場面ではたいてい、各々の持論が熱く語り合われているのですが、そこには同調・同意を求める姿勢が伴っていることに気付きました。 対話に慣れ、問いを上手に深めていける方

戦争体験を受け継いでいくこと

2023年5月10日。 宇和島市に出向いて、宇和島空襲を記録する会 主催の慰霊の集いに参加しました。 78年前の5月10日、四国の片隅のこの町も空襲の標的となり、数多くの命が失われています。 3年前にお誘いいただいて初めて参列して以来、4回目の参列でした。 会員の皆さんと一緒に和霊公園の慰霊碑をお掃除した後、空襲当時を体験された方々のお話を伺ったり、和霊神社参道の太鼓橋に残る焼夷弾の落下痕を見学したり。 前回参列してからの1年の間に、当時を体験された会員さんがまたお一人亡く

方言と郷土愛

2023年3月。 南予一期座だんだんの第3回公演「風の音リンリン」を観覧しました。 坊ちゃん劇場所属の方が演技指導を行い、八幡浜や近隣地域在住の方々が地域を題材にしたミュージカルを演じる市民劇団の公演です。 第1回、第2回の公演も観覧しており、今回も楽しみにしていました。 劇中、会場全体が一体となって大いに盛り上がる場面がありました。 「てやてや音頭」を踊る場面です。 これは夏祭りの際などに踊られる盆踊り風の音頭で、語尾に付けて強調や断定を意味する「てや」という八幡浜方言を

Uターン者・移住者の居場所

愛媛県南予地方にUターンして来られた方、移住して来られた方とお話をする中で、よく聞く課題感があります。 それは、同年代の人と知り合う機会が無い、生活していて孤立しがちになる、といったもの。 私自身も感じる課題です。 人の入れ替わりが少ない地域で暮らす多くの人は、子どもの頃から続く長年の人間関係の中で生活しています。 ご近所さんや代々地域に根付いている親族関係、小中高とあまり顔ぶれの変わらない学校の同級生。 そのような固定された人間関係に新しく混ざっていく負担はなかなか大きい

地方で始めてみた「哲学対話」

八幡浜で「哲学対話」を始めてみました。 「哲学対話」とは、日ごろ疑問に思うことなどから問いを立て、みんなで考えを話し合ってみる場です。 例えば「なぜ働くのか」「友だちとは何か」「『有意義』とはどういうことか」など。 その目的は、著名な哲学者の論説等を学ぶこと等ではなくて、深く考えることに慣れたり、いろいろな考え方があることに気づいたりすることにあります。 東京をはじめとする都会を中心に実践が広がっていますが、地方でこそこの取り組みを広めてみたいと思い、継続的に開催していくこ