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第6章【転落記】とあるキャリアウーマンの転落記

留置場の中は、簡素な布団と申し訳程度に付けられた壁の奥にトイレがあるような牢屋で過ごしていました。
実況見分も終了し、次は検察庁へ移送されることに対して私はとても憂鬱でした。

朝になると、起床のベルが鳴り私はゆっくりと身体を起こして横座りをしていると、疲労感があり身体が重い感じがしました。
何よりベタついた感じがあって嫌な感じです。
入浴については5日に一回とされており、いつもは当たり前に入っていたお風呂も制限されてしまっている。
私は改めて自分が置かれている立場に悔恨しました。

そうしているうちに牢屋の外では留置所の当直警察官がこちらに向かっていて、点呼が行われた。

名前が呼ばれると静かに「はい」と返事をして、当直警察官から今日の予定を伝えられました。

「こちらが朝食になりますので、完食をして身支度を済ませてください。1時間後にあなたを検察庁へ送致しますので準備を整えておいてください。」

警察官が丁寧に説明すると私は「承知しました」と返事をして渡された朝食を手に取った。質素なパンに野菜ジュースで簡素な朝ごはんだ。

何年振りのこんな食事を摂ったんだろう。。。
普段は朝5時に起きてジムでトレーニングや仕事をしていたので余裕を持って朝を過ごすことができました。
しかし今は全く異なる牢屋の中。
食事を済ませると、布団を片付けて洗顔と歯磨きをしました。
しかし、洗顔料などなく固形の石鹸を一つ渡されただけ。歯ブラシも使い捨てのようなものを一つ提供されただけでした。
持ってきたものは勾留時に全て没収されてしまっているので、いただいたものを使わざるを得ません。
当然化粧はできず、化粧水や乳液すらつけることすらも許されません。

手際よく、身支度を済ませると丁度良く警察官が私を拘束している牢屋の前に現れました。

「これからあなたを検察庁へ移送しますので、ここから出てください」
そう言って警察官は牢屋の鍵を開けて、私を外に出るように促した。
私は警察官を待つ留置所の外に出ると、手に持っている手錠と腰縄が。
当然牢屋を出るときは手錠と腰縄をつけられるので、ここでも自分のした罪の重さを実感しました。
私は外に出ている茶色い便所スリッパを履くと、担当の警察官が、
「今からあなたを拘束しますので、両手を出してください。」と言って私は小さく返事をして手錠をされるために警察官に両手を差し出しました。

ただ、今回は黒ベルトに腰縄とベルトが装着している状態なので、まずは腰ベルトをしっかりと締められて、ベルトにぶら下がっている手錠に私の両手は拘束されました。

カチャカチ…
キュッ、キュッ!

手錠は嵌められる音と、ベルトによって手錠と連結されたことによって両手を上下に大きく動かすことができなくなりました。
普段腰縄をされるとき以上に拘束を感じて、上半身全体が拘束されたような気がしました。

担当警察官は私の拘束状態を確認して、「被疑者の拘束具の施錠を完了しました、異常なしです!」と先輩警察官に報告すると、腰ベルトから伸びている腰縄の縄尻を手に巻きつけて検察庁へ送致する準備を整えた。

「それでは、あなたを検察庁へ移送しますので歩いてください。」
私は警察官の指示に従ってされるがままに歩行を開始しました。
まさに今の私の状態はテレビの時代劇や刑事ドラマででよく見た女囚が連行されるシーンと何ら変わらない状況でした。
私は俯いて、護送車までの短い距離を連行されました。

外へ出て護送車へ向かう通路をてた時、、、

カシャ!パシャリ!
カシャカシャ!!

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