コードギアスの新作アプリのシナリオについて考察してみた
今回はこちらのスマホアプリのゲームシナリオについて私が感じたことをいろいろ書き連ねていきたいと思います。
まず最初に結論からお伝えしますが、このアプリは私が今年スマホにダウンロードしたゲームの中で最もつまらないと感じたアプリNo.1です。
ゲーム性についての評価はAppleやGooglePlayストアのレビューやYouTubeでも取り上げられているのでここでは触れませんが、私、このゲームを初めてプレイしたときにかなり衝撃を受けたんですよね。
「コードギアス」シリーズという有名なIPを使ってリリースするということはこのスマホアプリの開発には多くの関係者が関わっているはずなんですが、このゲームシナリオで良くこの企画を通したなと。
私は本職のライターではないですし、少し物語作成のについてのノウハウ本を読み漁っているだけの素人ではありますが、その私からして「え、何?この展開に対して共感がまったくできない作りのシナリオは?」と呆然としたのは初めての経験でした。
そんなわけでいろいろと感じたことをつらつら書いていきたいと思うんですが、悪い部分をひたすら言及することって簡単ではありますが、それだとあまりにも非生産的じゃないですか。
ですので、今回の記事ではシナリオの問題点を記載した後、どうすれば良かったと思うのかについてもなるべく具体的に記載していこうかなと思います。
まず本作のシナリオですが、王道展開をあえて崩したシナリオにした結果、見事に失敗しているなという印象を私は感じました。
なぜ失敗したのか原因を分析したところ、大きな理由は2つあるのかなと私は感じました。
1つはゲームシナリオに登場する人物同士のコミュニティの構築がうまくできていないこと、そしてもう1つはユーザーの共感を得られるようなキャラの設定と展開を順守していなかったことです。
では、最初に登場人物同士のコミュニティの構築がうまくできていないことについて説明します。本ゲームはチュートリアルのシナリオが始まってすぐ、少なくともこれだけの人数と何らかの関わりがあることが示唆されます。
・オルドリン
・蓮夜
・アキト
・キュリトゥ
・ギギ
ゲームなどの創作物で登場するキャラクターというのはすべからく作中においてシナリオ上何かしらの役割を担っており、シナリオを通して主人公を中心に独自のコミュニティが形成されるというのが一般的です。
そのために冒頭で登場するキャラというのは非常に重要で、スマホアプリにおいてもたとえばゲーム内で使用できる仲間になるかどうかは置いておいて主人公を何かしらの役割でサポートする、場をひっかきまわして主人公を何かしらの大きな出来事に巻き込むなど、主人公や周囲のキャラクターとの人間関係の変化を引き起こす役割を担います。
しかし、本ゲームでは最終的にチュートリアル終了時点で残るのは記憶喪失になった主人公とギギ、ユニット召喚するためのキャラであるキュリトゥだけです。
なので、ユーザー的にはあの冒頭で登場したキャラって何だったんだろうと思うわけです。
しかも、記憶喪失にあたる主人公がコミュニティを構築するにしてもゲーム内の世界観設定もあいまって新しい人物を登場させるのも難しいのでシナリオを展開させるのも限界があるわけです。
これを改善する方法は簡単でチュートリアル終了時点でユニット召喚キャラのキュリトゥ以外のキャラも残すようにするだけです。要するに以下の3キャラですね。
・オルドリン
・蓮夜
・アキト
現在、チュートリアル終了時点で主人公とギギというキャラは最低ランクのユニットとして存在しており、上記3キャラは最高レアのキャラとしてガチャ排出されるようになってます。
これを主人公たちと同様の最低ランクのキャラに落としてチュートリアル終了後の仲間キャラにすれば良かったのです。
そうすれば、仮に記憶喪失という設定が生きていたとしても記憶喪失の主人公に対して行うであろう献身的なやり取りなどを通じてどのようなコミュニティが主人公の周辺で構築されているのか、少しずつユーザーも関係性を理解できますし、主人公とギギ以外にも物語を動かすキャラが増えるのでいろいろと展開のバリエーションも持たせることも可能になります。
次に2点目ですが、ユーザーの共感を得られるようなキャラの設定と展開を順守していなかったことです。
たとえば、本ゲームのシナリオには次のような文言が出てきます。
……まぁ、上記の文章を見て、私としては
「なるほど。このゲームのテーマは『復讐』なのかー。……えっ?シナリオのライターがそれ明言していいの?」
っていう感想を抱きはしましたが、そこはいったん置いておきます。例えば「復讐」をテーマとした物語をライターさんが書きたかった場合、どうするのが理想的なのかを考えるとある程度制限はされると思います。
まず「復讐」というテーマを扱うのであれば主人公を記憶喪失にするという設定は相性悪いです。
なぜなら、記憶を失っている間はそもそも「復讐する相手」や「復讐する理由」などもない状態でなければおかしいですし、主人公と最も触れる機会の多いユーザーからしてもその考えは絶対につきまといます。
私だったら、どうしても記憶喪失のキャラを出すなら、主人公ではなくヒロインとかライバルキャラとして登場させます。
後、記憶喪失のキャラの使い方がものすごく下手です。
こういったゲームにおいて記憶喪失のキャラっていうのは登場人物に世界観を説明させ、ユーザーにも世界観を知ってもらうというのが定石ではあります。
しかし、主人公にその属性を持たせると、それに加えて次のような王道展開が使えます。
記憶喪失の主人公が世界観や置かれている状況を把握する
↓
突如、主人公を襲い掛かる何らかのアクシデント
↓
アクシデントに対して主人公の特殊能力が発動し、何とか切り抜けるも主人公と周囲の人間は困惑し、キャラごとに関係性が変化する。
ね?どこかで見たテンプレ展開でしょ。
でも、逆にいうと主人公を記憶喪失のキャラにするのってそれくらいしかメリット無いと思うんですよねぇ。
しかも、本ゲームにおいては記憶喪失のはずなのになぜか最初からギアス(特殊能力)使えることをさも当然のように受け入れて、普通に使ってますし。
まぁ、私が仮に『復讐』をテーマで作品を作るとしたら、主人公は記憶喪失しないですね。あとは展開をわかりやすくするために同じ境遇のライバルキャラを用意しますかね。あと欲張るなら、ライバルキャラの妹あたりをヒロインにしても良いかも。
それでシナリオの展開で主人公とライバルキャラに共通の敵役がいることをを判明させ、ライバルキャラは敵役に『復讐』するため、主人公に協力を要請するが、主人公はライバルキャラが行いたい『復讐』には賛同せず、独自の信念に基づいた『復讐』を目指す。
こんな感じですね。王道展開は。
まぁ、わかる人見ればわかると思いますが、これって「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルーシュとスザクの関係そのまんまですw
スザクが主人公で、ライバルキャラをルルーシュにおいた感じですね。
コードギアスが話題になったのは普通ならライバルキャラになりがちのルルーシュを主役において、やっていることは褒められたことではないにしろ、視聴者の共感を得られるだけの人間性を持たせることに成功したことにあるのかなと私は思ってます。
すみません。話が少し脱線したので、アプリの話に戻します。
あのアプリのシナリオを基に『復讐』をテーマにするんだったら、私なら最初に平穏な日常を描いて、それが急遽敵役に滅ぼされる過程までをしっかり描きますね。
そのうえで主人公とオルドリン、蓮夜、アキトは何とか免れるものの、家族や友人は殺されてしまうという状況を作ります。
後は免れた先にたまたま見つけた遺跡に何かに触れてしまい、主人公たちは不思議空間に転移される。そこで現在の状況を打破するために過去改変を試みるとかですかね。
あとはギアスを最初から使えるように設定されているのではなく、遺跡の謎機能によって主人公はギアスを獲得したとか、後天的にゲーム中に取得させた方が良い気がします。
そうすると後で主人公以外もギアスに獲得していたけど、隠していたみたいなこともできますし、展開が広がりますしね。
最後になりますが、このコードギアスのゲームシナリオについていろいろと書きましたが、正直なところ、ライター全部悪いという風に思えないんですよね…。
何も決まってないまっさらな企画の段階からライターが参加して、いろいろと調整した結果がこれだったならまだしも、全体的なゲームの作りからそうではないだろうなと言う気がしているからです。
あのゲーム内容から「コードギアスのIPを使ったスマホアプリ使いたい。なるべく多くのユーザーを確保するために可能な限り全部のコードギアスシリーズに介入・追体験できるものにしたい。ある程度、ゲーム部分はこちらで作成したから、それらの展開にユーザーが違和感を覚えたりしないようなメインシナリオ用意して」という指示があって注文されてライターさんが間に合わせで作ったシナリオっぽいなぁと私は推測しています。
相変わらず、長文となってしまいましたが、私が今年応援していた「サクラ革命」を含め、最近、大手IPを使ったソシャゲアプリが次々にリリースされては消えていく現象を特に多く目にしている気がします。ソシャゲ業界自体、かなりのレッドオーシャンのため、仕方がない気もしてますが、それにしても原作へのリスペクトも感じられない作品も多いです。
そのIPを好きなユーザーの気持ちに寄り添って、射幸心をひたすら煽る形ではなく、好きなものを応援したい、続けてほしいと想いから課金したくなるようなゲームが増えてくれると私は良いなと思います。
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