カルノーが考えた熱の正体

。。。。。


。。。。。はい!


って中継がうまくつながってねーのかよ!

 こういう小ネタを昔よくやってました。かつてアナログ時代の衛星中継は、いつ応答するんだろうと心配になるくらい、遅延があったんです。

 そういえば、そんな衛星中継も、一時期ほとんど遅延無しでできてた記憶があるんですが、放送波をデジタル化してからでしょうか。また、昔ほどでないにしても遅延が目立つようになった気がしますね。もしかして私だけ?

 えーっと、カルノーサイクルから、カルノーが考えていたカロリックとは何だったのかという考察です。前回の記事は、

 高温熱源"T[high]"から受け取った熱"Q[high]"と、低熱源"T[low]"に捨てた熱"Q[low]"の差額が全て正味の仕事"W"になるような、つまり

Q[high] - Q[low] = W

と書けるサイクルのことでした(下図)。

画像1

 そして、何故こういう事が出来るのかといえば、熱をやり取りするのに、可逆な等温過程を採用していることです。「可逆な等温過程」とは、温度変化を無視できるくらいの、ゆっくりとした変化というイメージでした。

 でも、

可逆的に熱が移動したと言っても、我々は熱の移動を感じる時はあくまで「温度変化」による

のであり、

⊿Q = C⊿T

によって確かに定式化されているじゃないか(下図①)

というのが直感的な疑問です。もう一点、カルノーは、

「仕事はカロリックの消費ではなく、移動によっておこる」(下図②)

と言っているが、式の上では確かに熱が仕事に変化しているじゃないか

という考えも湧いてきます。

 では、一体何がやり取りされ、何が移動したのでしょうか?

画像2

 実は、ここでは普通の意味での「熱の移動」は起こっていません。何故か?

 ここで、カルノーサイクルを逆に運転させた、「カルノー冷却機」を考えてみます。つまり、

"W"という仕事を使って、低熱源から"Q[low]"という熱を高熱源にくみ上げ

ます。つまり、

Q[low] + W = Q[high]

 この冷凍機を、カルノーサイクルの仕事を使って、同じ熱源の間で運転させてみましょう(下図)。

画像3

図を見れば明らかなように、いったん低熱源に捨てられた熱"Q[low]"が、そっくりそのまま冷却機によってくみ上げられています。

 もしこれが普通の意味の「熱」だったらおかしい。なぜなら我々は、いったん高温部から低温部に流れた熱が、そっくりそのまま元に戻ることは無いことを知っています。(これは、「熱力学第二法則」の直感的理解です。)

 つまり、

カルノーの言う「カロリック」は、今日我々の言う熱とは異なるということです。

 では、それは一体何なのかは、クラウジウスが熱力学第二法則を定式化して明らかになります。

 次回からは、そこから熱力学の一つの登竜門である、エントロピーの概念に迫っていきます。

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