裏コンタクトレンズ。欧州巡りを終えた目の奥には。
家でも、星でも、砂漠でも、それを美しくしているのは、何か目に見えないものなんだね。
- 『星の王子様』
早期帰国を決めてとった便は、作者の名がついたリヨンの空港から飛ぶもの。無事に離陸着陸して今はドバイにいます。
20時間にも渡るトランジット、ドバイに片足踏み入れつつもまだ時間はあるので今の気持ちを少しでもかいておこうと思います。
イタリアから始まったこの旅は、コロナから逃げるよう順調に進んでいたものの、ついに追い抜かれてしまって、フランスのとある街、コルマール以降の予定はすべて断念することにしました。最悪の状況がたくさん想像できてしまうこの非常事態のなか旅を続けても向かい風ばかりなので、今回は帰国を優先して、また落ち着いて訪ねようと思います。
とはいえ、今はこれも好機と捉えています(半ば無理やり)。こんなにも長い旅をほとんど1人で続けるのは初めてで、日々目に飛び込んでくるものを消化しきれていないうえに、当初の新鮮さが薄まってきているのも事実でした。
予定より2週間短くなった旅。大学が始まる前に一度ここでしっかり振り返る時間をとれるのはありがたいことだなと思います。たくさん集めた種がちゃんと花咲いて実になるように、まずは散らばった種を整理したい。
そう、旅を通して私自身のなかで変わったことの1つは、物事を以前より多角的にみれるようになったこと。旅中いろんなことがあったけど、冷静な判断や切り替えも前よりは上手になったかなあと思う。(もちろんまだまだですが...)
さて。こうした時間の使い方をすると、やっぱり何か持ち帰りたいと私自身自分にも期待してしまうし、周りからも聞かれるのだろうと思う。でも、そんなプレッシャーに怯える必要はなく、記しきれないほどにいろんなことがあって、気づけたことがたくさんありました。
どんとこい、ヨーロッパ。
旅のテーマにしていたこの言葉。私の期待をはるかにこえて、ヨーロッパはどーーーーーんときてくれました。
旅をするなかで考えたこと。今日は1つだけ書こうと思います。
裏コンタクトレンズ。私たちはみんな、目の奥にコンタクトレンズをつけているんだなということ。そのコンタクトレンズは、世界をどのようにみるか、目に飛び込む情報を取捨選択し、選択した情報の処理にも無意識にフィルターをかけています。いわゆる「色眼鏡」です。
どんな世界を見たいか。どんなふうに世界を捉えたいか。これはこのコンタクトレンズが決めてくれます。世界といっても宇宙のような壮大なものから、目の前の幸せまで、目に映るものはぜんぶ世界です。
このコンタクトレンズは意識して機能を変えようとすると上手くいかず、これまで見てきたものや経験してきたもの、そうしたバイアスの蓄積でできています。そもそも普段は意識しようとすらできなくて、無意識に自分の眼が捉えるものを信じてしまう...。
何が言いたいかというと、私の裏コンタクトレンズはこの旅ですごくすごく変化を遂げた(と思う)ということです。自分の言葉で話せる世界の街々が増えて、ああこれを見るためにきっとここまで来たんだろうなというような景色や、私の知らない世界を知る面白い人たちとの出会いが私の人生に刻まれて、世界はこんなにも素敵で美しく、そして優しくそばにあるものなんだ、と。
あれだけいろんなものを見て感じていたら、変化が起こるのは当たり前だ、なんて思いもするけど、その当たり前が私にとってはすごく貴重でした。
あと1つ。私は事実、旅をしたのだけれど、見方を変えれば、私は日本でならできることの多くを犠牲にして、ヨーロッパへ来たことになります。
機会比較をしても結局は選んだほうを正解にすることに落ち着くけれど、正解にするにあたって、選んだ時間を、春の長期休暇には選ばなかったこれからの日常の時間に還元もしたいなと思いました。この旅中意識していたことを日本での日常に重ねたら、どんなに毎日が楽しくなるだろうか、と思います。
少し曖昧で比喩的な表現も多くなったけれど、それもそれで、この文章をいつ読むか、誰が読むかで感じ方や捉え方が変わってもいいかなと...
ただまとめておくと、
私に旅の時間が刻まれたことで、この旅は私の世界への見方を素敵に変えてくれたこと。そしてその時間はぷつんと途切れずこれからもずっと繋がっていること。繋げられること。
これが今回かきたかったことです。
そして冒頭に紹介した、星の王子様の言葉。この見えないコンタクトレンズは、今見る私の世界をぐんと美しくしてくれている1つだと思います。
また来るね。待ってろ、ヨーロッパ。
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旅中、このほかに3つの記事をかいています。もしよければ、いつかの10分をここにつかってもらえたら、そして誰かにとって何かしら思うものになっていれば嬉しいです。
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今日は、2020年3月17日。
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