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リストラーズの入場曲だった?

「24時間たたかえますか♪」

国民総出でガムシャラに働き、ひたすら上を目指していた昭和の最終章、
平成との交代の年に有名企業のコマーシャルソングだった曲。
1989年 昭和64年(同年平成元年)らしい。
今、時代は変わり、この歌詞でCMを流そうものなら、あっという間に叩かれるのがオチだろう。

このCMソングをイメージ曲?として外部の舞台に上がるときに、かつて
リストラーズが使っていることに驚いたことがある。もちろん彼らのファンなら何度も聞いたことがあるだろう。

が、リストラーズのメンバーすらも実は同時代にまともに聞いていたわけではないはずだ。
ましてや平成なかばにでも生まれた世代は、この歌詞を何かのパロディなのかと違和感なく受け入れているかもしれない。
 
それがキッカケで彼らが大切にしている「昭和」を考えてみたくなった。
昭和は平成を挟んで、すでに昔と言っていい時代。

上昇志向の明るさとスピードの裏には、走り続けることへの隠れた疲弊感も滲んでいる。
まだ核家族は少なく、離婚率も低く、女性は結婚と同時に家庭に入るのが
当たり前の時代。

会社では年功序列、滅私奉公、飲み会参加率100%が当前。女性社員は、否応なく上司に酌をして回るという時代だ。
どの時代がいい悪いという話ではない。
就職氷河期にドンピシャで当たり、お祈りメールばかりを受け取った世代もいるのだから、どの時代にも形の違う苦労がある。
 
時代の色あいはどんどん変化する。

今、サビ残はあれど、実際に会社に寝袋を常備したり、仕方なく客用ソファで丸まって朝を迎えるような、一人で24時間体制が当たり前という職場はないのではないか。
あったら労基に訴えられているかもしれない。
代わりに、副業という形で本業とは別に仕事を持つ2足の草鞋が増えているのだろうが。
 
ところで少し前からyoutubeを見ていると、当時の文化や流行した歌が今頃になって見直され、海外でも評価されていることに気づく。
いったい何が理由なのだろうか。

歌謡界、芸能界のことは薄っすらとしか調べられないが、当時の歌手の力量は、今に比べてかなりあったように思える。(現在の歌手をどうこういうつもりではない、時代の話であるのでご容赦を)

専門でないので詳細を語る資格もないのだが、想像だけでも、現在のようにテクノロジーで補ったり、秒単位の尺を調整したりは難しいはず。
つまり歌い手本人の声量や音感、技術、表現力に頼ることが大きかったのではないだろうか。

伝説のように扱われている布施明さんや尾崎紀世彦さん、山口百恵さん、
もっと以前では歌の女王と呼ばれた美空ひばりさん、演歌歌手の中にも数多くの注目すべき存在がある。
いずれも今のスタジオで、或いはライブで聴けば会場の天井も吹っ飛ぶ勢いの歌だったに違いない。

胸を締めあげられる情感をその表現力で歌い伝え、観客を魅了し、テクノロジーで補えない分、人の心に直接届けとばかりに歌いあげていたのだろう。
演奏や曲作りもしかり。これこそ更に詳しくないが、日本の歌謡曲やジャズ曲を知った海外の専門家たちが驚きの声を上げて収集していると聞いた。
 
どの職業であっても、揉まれて、踏まれて、その中から選ばれても やがて
挫折して。
タイガーマスクや星飛雄馬、柔道一直線が受け入れられた時代。
ド根性に価値があった男性中心の時代。女性は可愛く慎ましくあれと教えられた時代。
そういう時代だったのだ、よくも悪くも昭和というのは。
 
一言でいえば雑多な感じはするが、今の目で見ると何か熱気を感じる魅力がある。
今年は令和6年。週明けには年度はじめだ。 

リストラーズが「昭和歌謡」を大切に歌っているからこそ、その時代背景も少しずつ知った上で聴いていきたいと考えている。

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