運動の成り立ちと、アプローチの考え方
はじめに
こんにちは!
理学療法士の野坂です。
現在は整形外科のクリニックに勤務しながら
休日などを使って、主に高校野球の現場に出向き
トレーナーとして活動をしている、一人の理学療法士です。
理学療法士としては、臨床現場で出てから7年目になります。
本日はタイトルでもお伝えしている通り、
「運動の成り立ちと、その要素について」というテーマで
記事にしております。
運動
それは、とても意味も内容も深い言葉です。
この運動には、非常に多くのことが関わり合い
関係性の中で成り立つということを
いつしか忘れて、そして知らず知らずのうちに
現場や臨床に出ているセラピスト、トレーナーも
いらっしゃるのではないでしょうか?
自分も時々、この運動についてということを
振り返りながら、自分の中で復習し、考えながら
仕事をしていく必要があるなと日々考えています。
それくらい、この運動という単語には深い意味が
あり、それだけ思考をしていく必要があると言えます。
今回のこのnoteでは、運動とは何か
運動とはどのように考えていけばいいのかという点について
深掘りをしながら、動きの専門家として
理学療法士、トレーナーという仕事に就く上で
必要な知識や知恵を、自分の現場感覚だけでなく
文献、書籍で書かれていたものを引用しながら
紐解いていければと思います。
それでは早速行ってみましょう!
introduction
運動とは一体なんでしょうか?
動きとは一体なんでしょうか?
人が動くということは、非常にシンプルながら
その複雑性を重視していく必要があります。
通常、人間がどのようにして動きを作っていくのか?
というメカニズムを理解し、その動きの調整はどのように
行われているか?という部分を紐解いていきたいと思います。
人の運動制御の最高中枢は紛れもなく「脳」です
この「脳」が、神経回路を通して筋へ信号を伝え、筋肉が
骨を動かし、最終的に「動き」へと波及していきます。
これは、人単体でいうところの基礎知識ではありますが
これ意外にも「環境」という他因子を考慮していく必要があります。
例えば、コンクリートで補装された道路を走る時
海辺など、砂場で足が安定しないような場所を走る時
水たまりの中を、濡れないように走る時
これらは全て、「走る」という基礎動作は一緒ですが
環境によっておそらくどの走るという
動作は、必ずしも一致しないと考えることができます。
これは、環境が人の動きに相互的に作用し、「走行」という
基礎的な動きに影響を及ぼすという事実関係があるということです。
変わって、この文章はPCで打っているのですが、PCに向かう時に
キーボードに触れるときを考えていきたいと思います。
キーボードを「打つ」という課題は変わりないですが、
椅子に座る位置(デスクまでの距離)であったり
椅子の高さ
椅子ではなく、床に座っているのか?
だけでも、バリエーション豊富に肘や肩、腰への負荷量が
異なってくることは想像できるかと思います。
そう、このように、人というのは、基礎的な動きはそれぞれあるにしても
それらは脳で制御されている部分と、環境によってその時々によって
運動が規定されてくるという性質があります。
動きは環境に左右されると定義しましたが、
動きの調整には、この環境に対して
・フィードフォワード制御
・フィードバック制御
この二つが関与しています。4)
フィードフォワード制御とフィードバック制御
フォードフォワード制御(Feedforward control)
運動はあらかじめ規定されている。開始後はその規定された運動には
なんの変更もなく終わりまで遂行される
開ループ制御:open loop controlとも表現される
こちらは運動や動作が早く、運動開始前に運動過程の詳細が決められている
フィードバック制御(Feedback control)
目標に向かって動いている身体部位からの感覚入力の連続的フィードバックを受けたり、あるいは視覚入力による間欠的フィードバックを受けて
行われる
閉ループ制御:closed loop controlとも表現される
こちらは緩徐運動であり、運動開始時に過程の詳細を決めておく必要がない
フィードバック制御に関しては、運動中、もしくは運動後に生じた結果から
運動の修正がなされると言い換えることができます。
ここから、運動学習が生じることになります。
ここで、フィードバック制御には、
内的フィードバックと外的フィードバックが存在し
それぞれの方法で運動の結果からもたらされた知識
(Knowledge Result:KR)によって運動学習がなされると
考えられています。
ちなみに、このフィードバック制御が生じた結果運動学習がなされる
ことで、フィードフォワード制御を可能にする内部モデル(internal model)
が形成されると考えられています。
つまり、内的モデルを形成するためには、KRから運動学習を
行うことが最初の手立てというわけになります。
結果の知識(Knowledge Result:KR)
KRは、付加的なフィードバックであると言えます。
運動そのものよりも、運動(反応)の結果に対する情報を
選手(患者)に提供するといったものになります。
通常は、運動終了後に対象者に対して伝えられるものを指します。
例えば、野球で例えるならば
とある選手がバッティング練習を実施していたと想定します。
そのバッティング練習をしているときに
今のスイングだと外野の頭を越えるからいい感じだ!
というのは、スイングの結果、打球が長距離に飛んだという
結果を選手にフィードバックをしていることになります。
これがKRです。
今のスイングの速度は130km/hだった!もKRです
対比として、パフォーマンスの知識(Knowledge Performance:KP)とは
今のスイングでは肩が開いているな!
股関節の割れが少ないな!
という形で、パフォーマンス中に起きた出来事、
特に対象者の身体のある一部分の動きを特定的に
指す時がKPです。
ちなみに余談ですが、
KRは運動学習を促通し
KPは内在的フィードバックやインターナルフォーカスといったような
内的な知識の蓄積に有効であるとされています。
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