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森を未来につなぐために、行動する(もりメイト倶楽部Hiroshima)~ハチドリ舎とのコラボイベント「山と海をつなぐ」その5

 ハチドリ舎とみんなでつくる中国山地のコラボ企画「山と海をつなぐ」。第5回は、広島市で森林整備に取り組んでいる、もりメイト倶楽部Hiroshima・山本恵由美さんをゲストにお招きしました。

ゲストのプロフィール

◆山本恵由美(やまもと・えゆみ)さん

NPO法人もりメイト倶楽部 Hiroshima の発起人。大学時代からボランティア活動に携わる。20代に単独で世界一周清貧旅行に挑戦した際に「水」の貴重さを実感。環境問題や農林業の重要性に気づき関心を持つ。帰国後、都市と地域をつなぐ農業体験交流塾や森林保全、環境教育、行政職員と市民の協同学習会、広島市長候補公開討論会など多くの団体を発足させ、さまざまな市民活動に関わりを持つ。命を生かし水や酸素を育む森や川を舞台に環境教育等のプログラム作成から指導、まちづくりのプロデュースを行う。広島修道大学でボランティアセンターの開設に尽力。コーディネーターとして勤務。同大ほか「NPO・ボランティア論」の講師も務める。女性初の広島市里山整備士、(公益財)広島市文化財団評議員、広島市水の都推進協議会副会長、広島市森づくり推進委員、広島市食農コーディネーターなど。

もりメイト倶楽部Hiroshimaができるまで

 環境に関心があった山本さんは、学生時代から葦で舟を作って浮かべたり、バックパッカーで世界を旅したりしてきました。帰国後、命を支える大切な食への関心から、農業を守ること、そして森林の現状を知りました。

 森林は本来、林業者がすべきことなのかもしれない。だけど、都市に住んでいる人も森林の恩恵をたくさん受けている。だからこそ何かできないか?というところから、1997年に「もりメイト倶楽部Hiroshima」を立ち上げました。1996年から今も続いている広島市の「森林ボランティアリーダー養成講座」で林業技術の基礎講習を受けたのに、卒業後に生かす場がなかったのがきっかけとなりました。

「賛助会員ではなく、森に実際に入る会員がたくさんいるのが特徴」と山本さん

 最初の活動は安佐北区の共有林からはじまりました。初回からたくさんの人が集まっていて、「それだけ何かしたいと思っている人が多かったんだと
思う」と山本さん。認知度が上がるにつれて、地域からの差し入れも増えてきました。

 ある程度自分たちの場所の整備ができるようになると、さまざまな地域へ出張して整備をお手伝いする活動も始まり、毎年一緒に作業している場所もたくさんあるそうです。


森を放置する問題点

 戦後に全国で植えられた植林地は、木は細く高く密集状態になっています。中に入ると真っ暗で、下草も生えていません。根の力も弱いため、大雨が降ったら保水することができません。生物多様性を守る上でも大切なことです。人が手を入れた森は、人の関わりが重要です。倶楽部では間伐をしたり、木の直径を測ったりしていて、徐々に複層林の姿に戻っている地域もあるそうです。

手入れをして複層林になった森


もりメイト倶楽部の独自性

 間伐材を山に残すことも多い中で、倶楽部では間伐材を持ち出して森林資源を活用しています。山へ持ち込んで現地で製材できる機械を導入して、板材に加工し、ベンチやプランターを作ったり、イベントで作ったものを売ったりしているそうです。

 子どもたちに対しても、できることを一緒にやっています。森林や竹林を整備する意味を丁寧に伝え、実践する機会をつくっているそう。

 会員の安全もとても大切にしています。保険もきちんとかけて、熟練の方から技術を教わり、技術向上にも努めているそうです。その活動が認められ、2023年度には広島市民賞を受賞しました。

 

活動を続ける理由

 共同作業を通じて、みなさんがとてもいい顔をされているのが印象的でしたが、もちろん楽しいことばかりじゃないのも事実です。だけどやめないのは、「未来を創る活動だから」と山本さん。「酸素を吸って、水を飲んで、食べ物を食べて生きている以上、自然を守り育てなくてはと思っています」と。都市で暮らしている人たちが、山・川・海に関わることができるということに、希望を感じました。山本さん、ありがとうございました!


次回のお知らせ

次回は、6月5日(水)19時~21時。海の話を漁師さんにお聞きします。ゲストは、大崎上島町の中村守幸さんと福山市内海町田島の兼田寿敏さん。一緒に活動する仲間たちの参加もあるかも?!こちらもぜひご参加ください。
詳細URL:https://hachidorisha.com/event/240605

(レポート:みんなでつくる中国山地百年会議・中尾圭)


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