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「絶滅危惧動作図鑑」薮本晶子著(祥伝社)ビブリオエッセイ

絶滅危惧動作図鑑レベル5「やったことがない 日常生活で見たこともない動作」に並ぶ一つ一つを、やっていた記憶が鮮明だ。「あなたが、絶滅危惧人間レベル5ですから」と言われたような気がするのは、若さへの嫉妬だろうか、歳を重ねてしまった焦りだろうか。
たしかに、今、私は焦っているかもしれない。
「こんなはずじゃなかったのに‥‥」
という気持ちが、最近強く思うことが多い。
しかし、この一冊が、私が本当にやりたい事に火をつけてくれたのも確かだから、売られた喧嘩は買う事にしよう。
私が7歳まで育った家は、田舎の名家(多分)、大きな座敷3部屋の襖を取り除けば、大広間になり、自宅で祝言も葬儀もしていたらしい。
さすがに、水道(地下水)はあったが、家の裏には井戸と手押しポンプがあった。手押しポンプで水を汲むには、なかなかのコツがいる。調子よく行けば、冷え冷えの水がどんどん出てくる。
その水を、五右衛門風呂に溜め、山から切ってきた木を割った薪で沸かす。家の外から、火を起こすのだが、便利な着火剤も、チャッカマンもない時代だ。薪の組み方のコツが必要で、新聞紙やカンナ屑を使っていた。
そうそう、お湯をかき混ぜてちょうど良い温度まで下げたっけ。
丸い五右衛門風呂には、途中で引っかかる大きさの丸い「すのこ」がぷかぷかと浮いていた。
そのすのこを、ひっくり返さずにうまく沈めながら入るには、なかなかの技がいた。
そして、五右衛門風呂は深い!小さかった私は、立ちんぼでも顔を出すのがやっとだった。
レベル5の中で、唯一経験しなかったことがある。
それは、そばの出前。
隣の家まで、500メートルはある田舎に、そもそも蕎麦屋がなかったからだ。
売られた喧嘩を買うことにしたと最初に書いたが、どうやって買うのか。私の夢はエッセイストとして自立。この本の目次ひとつひとつを、エッセイにしてやろうと決めたのだ。
さぁ、何文字のエッセイに仕上げようか。

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