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情報共有を阻むものたち

機能別組織と事業部別組織

前回は役所のピラミッド構造を説明しましたが、縦割り組織(機能別組織)は、専門性を育てるには適しており、横の情報共有と連携がスムーズにできていれば、効率的な組織になります

なお、機能別組織とは別に事業部別組織(顧客属性や製品毎にサービス提供する組織)があり、こちらは各事業部にどれだけ権限移譲できるかがポイントになります

では、縦割り組織の区役所で横の情報共有はどうしているのでしょう

「会議」です

月1回程度、区長・副区長・主だった部長が集まります
最近はZoomも使うようになって支所等からも参加しておりますが、とにかく参加者が多くて長い
部長職だけでも50人いるので、意見交換をきちんとしようと思うと長くなってしまう
あとは、庁内イントラシステムを使って、全庁への連絡(一方通行の情報伝達)が行われています
一方通行なので相互理解には程遠い状況
また、縦ラインの情報共有も会議(レク)なんです

効率的な情報共有を目指して必要なこと

前職のサイボウズでは、情報共有ツール(グループウェア)を使っていましたが、今の職場は情報共有ツールがほとんどない
庁内のメールはありますが、流動的なメンバーで会話を積み上げていく仕事には適していません

「便利なツールがあるなら導入したらよいやん」

そう思いますよね
私もそう思っていろいろ調べてみると、
そこには以下のようなハードルがあるのがわかってきました

・そもそも電子ファイル形式に見える化してないものも多い
  一人1台PCがあるので、ペーパーレスを進めればよさそう

・課を超えて見せる文化にない
  これは少し面倒
   課を超えて見せても怖くないんだ、という安全安心感を持ってもらえ
   るようにする
   他課から口をだされても拒否感を持たないような風土にする

・公文書管理(情報公開請求)
役所内で共有される情報(含、コミュニケーション)は形式を問わず公文書だそうです
なので情報公開請求されると原則開示されます
相互理解のための会話など、直接仕事に関わらない会話も公文書になるけど、公開されると恥ずかしい感じです
だからといって相互理解がないと、結果、情報共有や連携ができません
 → よく考えたら、恥ずかしいわけではないし気にしないで見える化する
   風土を作る
   公開されてアウトなものは庁内でもアウト
 
・古いITツール
文書や表計算の電子ファイルは、ファイルフォルダで「課」単位に管理されてます
個人情報有無にかかわらず他課からアクセスできません

クラウドサービスには、ファイル毎にアクセス権設定できるツールもありますが、そもそもクラウドサービスを業務に使えるようなIT環境&庁内ルールになってませんし、特に個人情報をクラウド上に保管するのは超例外の扱いです
 → クラウドサービスで、安全・適切に個人情報含めた業務を行えるよう
   にルールを見直し、IT環境を整える
   セキュリティ教育も今まで以上にきめ細かくする

8月中旬より、区長レク、副区長レクのペーパーレス化に合わせ、レク資料を「部」単位にフォルダー保管してもらうようにしました
(「課」単位でないのは一歩前進、個人情報があるものは保管対象外)

安全安心な場→情報の見える化→情報共有→業務/ITツール見直し→DX
と続いていくので、まだ、まだ端緒についた所かな

~おまけ

実は世田谷区役所内にも事業部別組織があります。
それが、5つの総合支所(地域毎)と各支所の下にある28のまちづくりセンター(地区毎)です
さらに区は、まちづくりセンターと同じ建物に、社会福祉協議会と地域包括支援センター(あんしんすこやかセンター)に入ってもらい連携することで区民サービスの向上を目指しております

機能別組織の文化が色濃くある中、どこまで見える化と情報共有ができるかが勝負です
行政の地域型事業部別組織の本質は、縦割り意識を脱して
「誰一人取り残さず担当地域(住民)に寄り添うこと」
だと思います
そのために必要なITツールの導入と活用支援、風土醸成を進めたいと思っております

オラに元気(力)を分けてくれ~!

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