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【宇宙杯スピンオフ企画】宇宙創作一句

宇宙杯ホストの宇宙かっちー様からのお誘いを受け、やっと重い腰を上げました🙏
本当に、グズグズして申し訳ありません。

○○杯は、過去に白杯(2021年度秋)・沙々杯(2021年度冬)に参加しているのですが、ふと、「せっかくだから、今回は少し趣向を変えてみよう」と思い立ち、短歌に初挑戦してみました。

今回短歌での応募に踏み切ったのは、Twitterのフォロワーの皆様方のうち、短歌を詠まれる方々に影響されたのかもしれません。

文字数が三十一文字に増えたことから、一つの歌に詰め込める要素もボリュームアップ。
一部、謎掛け要素も取り入れてみたりと、遊び心も含めてみました。

そんなわけで、今回はスピンオフ企画枠での参加です。

今回のヘッダー画像は、「スピンオフ企画」の担当者である沙々良まど夏さんの投稿からお借りしました。

上の句

木と春と番になりて花開き

短歌の勉強をしたのは、かなり久しぶりです。
もっとも、末次由紀先生の「ちはやふる」を時々読み耽っていたこともあり、実は俳句よも取り組みやすかったかもしれません。

ここで、ちょっとした謎掛けが入っています。
上の句で詠んでいる花は、何の花なのか、お分かりでしょうか。



画像から簡単に分かりそうですね😊
答えはもちろん「つばき」です。
椿つばきへんつくりをつがいに見立てて、俳句仕立てにしてみました。

最低限の俳句のルールは踏まえました

余談ですが、上の句だけを独立させても一応俳句になるように、工夫してみました。
仮に俳句として見立てた場合、季語は「春」。
下五の「花開く」は、名詞+動詞=複合動詞です。
俳句としての出来栄えはともかく(苦笑)、しっかりと$${^{*1}}$$有季定型句ですね。

*1:俳句で季語を含み、五・七・五の音で構成されているもの。

さらに、椿は俳句の世界では、春の季語の一つ。
上句では、ダブルで春の要素が含まれています。

下の句

つらつら思ふ巨勢の終かな

下句では、俳句にはなかった七+七の登場です。
私もざっくり聞きかじった程度の知識ですが、短歌では、下の句で心情などを詠むのが一般的とのこと。

さらに意図的に選んだ言葉は、「つらつら」と「巨勢」。
俳句ではなかなか取り組めない、「本歌取り」に挑戦してみたのです。

本歌取りとは

本歌取りとは、典拠のしっかりした古歌(本歌)の一部を取って、新たな歌を作ること。本歌を連想させて、歌に膨らみを持たせる技法です。

狭義の本歌取りでは細かいルールがありますが、広義では、複数の古歌の要素などを組み合わせたケースも含まれるようですね。

そんなわけで、万葉集から二首、参考にしてみました。

巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を
(こせやまのつらつらつばきつらつらに みつつしのはなこせのはるのを)

坂門人足(さかとのひとたり)

意味
巨勢山のたくさん連なって咲いている椿。よくよく見て偲びましょう、巨勢の春の野を。

出典元:https://art-tags.net/manyo/one/m0054.html

川上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は
(かわかみのつらつらつばきつらつらに みれどもあかずこせのはるのは)

春日蔵首老(かすがのくらびとおゆ)

意味
川沿いに連なって咲いている椿をよくよく眺めているけれど、巨勢の春は飽きないことです。

出典元:https://art-tags.net/manyo/one/m0056.html

両句とも、大寳たいほう元年(西暦701年)9月、持統じとう天皇が紀伊国紀の牟婁の湯きのむろのゆへ行幸した際に、椿を詠んだ歌を披露した史実に由来するもの。

これを踏まえて、自作では「つらつら」「巨勢」の言葉を用いています。

自句の解説

「つらつら」は、念を入れて見たり考えたりする様子のこと。
「思ふ」は、感じる、心配する、回想するなど様々な意味があります。

そして、「巨勢の終」について。

巨勢山丘陵には、国内最大クラスの群集墳があります。
たとえつがいが成立しても、いつか相手はいなくなる。
巨勢山のつらつら椿を愛で、春の華やかさに酔いしれていても、道中、墳墓が目に入れば、ふと別れの瞬間に思いを馳せるのではないでしょうか。

そんなわけで、もしも自作の短歌に意味をつけるとするならば。

(巨勢山の)つらつら椿は、春になると木に花を咲かせる。だが、いつかは別れがやってくるのではないだろうか。この巨勢山に眠る人たちのように。

というところでしょうか。
完全に、妄想から発展させた短歌ですけれどね^^;

なお巨勢山は、現在の奈良県御所市にあります。

まとめ

今回は、普段取り組んでいる俳句の延長として、短歌に挑戦してみました。
作品形式は短歌ですが、俳句の要素あり、短歌ならではの「本歌取り」の要素も入れました。
見ようによっては、上句は$${^{*2}}$$|古川柳《こせんりゅう》っぽいかも。

*2:明治時代以降発展した新川柳に対し、滑稽な俳句である狂句を、川柳として確立させた柄井(からい)川柳らの作品を指します。



さらにトピック全体として見れば、文字通り「記事」。

やはり、トータルパッケージで考えれば、「#宇宙杯創作一句」ですね😊

最後に、お誘い頂きました皆様へ。
本当に、ありがとうございました!!

©k_maru027.2022


#宇宙創作一句
#短歌
#俳句
#宇宙杯




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