【直違の紋に誓って】第一章 二本松の種子~憎き雨(1)
五日、東軍は白河を奪還するために笹川を出発して須賀川に進んだ。
西軍の猛攻の危機にさらされていたのは、二本松藩だけではない。白河城からわずかな距離にある棚倉藩も、危険が目前まで迫っていた。既に棚倉藩からは急使が来ていて、二本松藩に援軍を求めている。この要請に答える形で、七日には、三個小隊を棚倉へ分遣した。
十一日には、会津の総裁、辰野源左衛門が兵十個小隊を率いて、さらに翌十二日には仙台兵総裁増田歴治、軍事方泉田志摩が十個小隊を引き連れ、相次いで須賀川に到着した。
そし