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神話を、考える

 皆様はポケットモンスターに触れたことがあるだろうか。説明するまでもないと思うので詳細は省くが、その人気は『ポケモン赤緑』発売当初から指数関数的に増加の一途を辿っており、今や私よりも歴史のあるコンテンツにまで成長したと言っていいかもしれない。
 私も御多分に洩れずポケモンで幼少時代を過ごしたのであるが、同時期に厨二病に罹患し、神話について考えるようになったのが本件につながる。

 ポケモンの神話は『ポケットモンスターダイヤモンド・パール』で描かれており、「アルセウス」というポケモンが宇宙を創り出したと書かれている。
 このアルセウスのいくつかの図鑑説明には、「なにも ない 場所に あった タマゴの中から 姿を 現し 世界を 生み出したと されている」
と記されており、これは近代日本哲学の西田幾多郎の場の論理で語られる絶対無の概念である。

 西田の無の限定により相対有が生まれるという考えは無から有を産むというアルセウスの説明に他ならない。
 また有を生み出す絶対的な存在は天皇制という現人神を擁護した西田思想と合致している。

 加えて2009年に公開された『ポケットモンスター アルセウス超克の時空へ』のタイトルに含まれている「超克」とは西田の影響を受けた京都学派の「近代超克論」から取ったという可能性が高い。
 こうした事実から、ポケモンの神話は日本近代哲学の影響を強く受けていると考えることができるのかもしれない、幼稚園バスに揺られる私はそう考えた。

 以上が今回の内容である。生憎私はポケモン世代ではあっても神話世代ではないので表面的で浅いことしか述べることができていないかもしれないが、その点ご容赦いただけると幸いであり、ご容赦いただけない場合は不幸である。

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