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未来の工場(無人化・IT・オートメーション)

今の木質ペレット工場やバイオマス発電設備の営業をしていくなかで感じている課題が「人の手がかかる」ことである。

私が担当している工場に限らず、木質ペレット工場では、重機で丸太を運ぶ、丸太を破砕にかける、スイッチを押して機械を立ち上げる、機械が正常に動いているか工場内を見て歩く、問題が発生したら原因を特定して修復する、おが粉やペレットを桶ですくって水分値を測定する、ペレットの状態を記録する、など。どれも絶対必要な仕事で人の手が必要なものだ。だから、私の知っている限りでは、ペレット製造能力4t/hの工場+発電設備11台で5人+サポート2人、実質5.5~6人くらい。これでもオペレーター数は絞られていると思う。

このマニュアル作業をオートメーション化し、工場内の人手を極限まで絞るということに取り組んでいきたいと思っていて、その鍵となるのがITである。これは北海道での現場経験を通じて学んだことであるが、国内最大規模(40万トン/年)の飼料工場を見学した際に改めてこの考えが正しいと改めて感じた。

その飼料工場では、牛・豚の餌用のペレットを製造し、そのペレットを砕いて細かくすることで鶏の餌にする。動物の胃の中で吸収をよくするために原料をこねるような機械があったり、木質ペレット工場では見られないものもある。ただ、その中でも特に個人的に印象に残っているのが、工場のオートメーションだったのである。

オペレーターは中央制御室にて工場の製造設備全体を表す縮図を見ながらコントロールしていて、工場の稼働はクリック1つで可能。問題が発生した箇所は赤く表示されて一目瞭然。定点カメラが工場内に16台設置されていて人が巻き込まれるなどの事故ないように安全を担保している。製造の最初と最後は清掃作業があるため工場内に入る必要があるが、それ以外はトラブルが発生しなければ入ることはほとんどないと思われる。

私が思い描いていた未来の木質ペレット工場は最新の飼料工場では既に実践されていた。

オートメーション化で人の手がかからなくなるメリットは大きく2つあり、1つめは「人件費の削減」だ。オペレーター人件費を50万円/人/月とおくと、20年間だと50万円×12ヵ月×20年=1.2億円。この費用の削減は目に見えてとても魅力的だ。

2つ目は「人材の代替性」であると思う。マニュアルの工場の場合、機械を動かすにも知識や経験が必要でウイッチを押す順番を間違うと故障が発生する。熟練が必要なのだ。しかしクリック1つで設備全体を自動で起動できるようになればその熟練が要らなくなる。また、マニュアル工場の場合ペレット製造おいて職人技(ペレットをかじったり、折ったりして品質を確かめる、機械の運転音を聞いて故障しているかどうか判断する)が必要な部分があったが、良いペレットを数値で規格化しセンサーで自動で判別する、機械を動かしているモーターの負荷を可視化することで故障を判別することが出来れば職人技がいらなくなる=人材の替えがきく。

長期的に工場を運用していくなかで色々な問題・リスクがある。今後長期的に我々のやるべきことは、ペレット工場の運用ノウハウや製造知識、ペレットガス化のノウハウ、これらにITをかけ合わせたり他業種のアイディアを掛け合わせたりして、より効率的な運用のかたちを追求していくこと。それは常に「未来の工場」を想像して仕事することだと思う。

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