北森耕太郎@北森劇場

ボカロ楽曲を制作する北森劇場の詞を書く人。演劇台本や短歌なども。 北森劇場【北森耕太郎…

北森耕太郎@北森劇場

ボカロ楽曲を制作する北森劇場の詞を書く人。演劇台本や短歌なども。 北森劇場【北森耕太郎・律・タクマ・でな・吹島サスロー・ありさ・cao】 心中じゃぱねすく・Hurt・Last flight(JOY), Queen(DAM)。高校教師として過ごす日常は世を忍ぶ仮の姿だと思いたい。

最近の記事

勇気

一歩だけ踏み出す勇気それだけが僕の時間を蝕んでいく  君といられる時間を数えれば残りは少なくて、でも、何もできない僕がいる。  悶々としながら過ごす毎日じゃ、きっと明日も何ひとつ変わらない。ただ、卒業までの時間が削られていくだけ。それでいいの? 本当にそれでいいの? #今日の短歌

    • どれだけの

      少年でいられる日々を逆算しいくつの嘘を残すのだろう  僕は嘘つきだ。自分の気持ちに嘘をついて、毎日をやり過ごしている。そうしなければ、作り笑いさえも見せることができないから。  卒業までのあと1年と少しの時間。僕はあとどれだけの嘘をつくことになるのだろう。耐えられるかなんて分からない。でも、耐えなくちゃいけない。君の笑顔を見続けていたいから。 #今日の短歌

      • わすれもの

        ロッカーに向かう背中がしまったと言ってる宿題忘れていたと  ピタッと一瞬動きが止まる。そこできっと気づいたんだね。今日提出のワークがそのままになってるって。  大げさに肩を落として見せるけれど、それも一瞬。切り替えの早い君を見習いたいって、ずっと思っているんだよ。 #今日の短歌

        • やけになる

          赤ペンをくれてやるから直しなよコメントなんかいらないからさ  僕が間違っているんだろ。きっと、そうなんだろ。分かっているよ、はじめからさ。  だったら、何が正しいか教えてくれよ。惜しかったとか、ここまでは合ってるとか、そんな言葉はいらないよ。マルかバツかでいいからさ。 #今日の短歌

          ペテルギウス

          曖昧な記憶に嘘を散りばめて砕いたペテルギウスの欠片  記憶はいつも頼りなくて、でも君のことは忘れられなくて。泣き虫だった僕のそばで、よく肩をたたいて慰めてくれたっけ。  いま僕が思っていることを話そうか。君はかけがえのない親友で幼なじみ。嘘だよ。僕はいつだって僕に嘘をついている。せめてきれいな嘘をつきたいんだ。凛と輝くペテルギウスのように。 #今日の短歌

          いつのひか

          ありがとうと素直に言える時までは君が好きだと隠しておくよ  いつかは全部過去になる。きっといま君を好きだってことも、思い出に変わるんだ。  それまでは、その日が来るまでは、この想いを伝えずにおくよ。いつか君を好きでよかったと思える時が来るまではね。 #今日の短歌

          何の気なしに

          4組の加賀のバイトがばれたってどうして僕に教えてくれる  君は何でも知っている。そして何でも教えてくれる。でも、どうして僕にそんなことを?  どんな反応をすればいいのだろう。意外な顔を見せればいい? それとも理由を聞けばいい? 君に話しかけられるたびに、答なんてないことばかり考えてしまうんだ。 #今日の短歌

          ちかすぎる

          甘噛みの痕だと笑う中指をそんなに近く見せてもいいの  まだ子猫だから噛んじゃうんだよね、なんて笑う君。絆創膏を貼るまでもないと、かすかな噛み痕を僕に近づける。  無防備な君の中指を見せられて、僕は黙って笑うだけ。いや、笑うことしかできないんだ。その距離をゼロにしたいと思っていたって。 #今日の短歌

          口癖

          「だってばさ」口癖だって気づかずに数えられてるなんて知らずに   昔から変わらない君の口癖を何度数えたことだろう。でも、きっと君は気づいていない。  こっそりと指を折って、退屈な時間を潰していく。5回、6回。バカバカしいなんて分かってる。でも、こうすることで君とつながれる気がするんだ。ほら、また。 #今日の短歌

          でられない

          開け透けな心をいくつのぞいても幼なじみの檻の中から  君はいつだって自然体だ。明るくて、優しくて、誰にだって分け隔てないから友達も多い。  そんな君とこんなに間近にいるはずなのに、どこかよそよそしく接してしまうのは、きっと防衛本能なんだ。傷つきたくなくて、それ以上は近づけなくて。でも、それでいいって、自分に嘘をついてさ。 #今日の短歌

          こっそりと

          午後9時のコンビニで買うシャーペンで試し書きする君の名前を  普段から使うものは手になじむ方がいい。とはいえ、それほど種類がある訳でもないから、悩むまでもない。でも……。  店内は僕しかいない。レジにはよく知ったおばちゃんの顔。じゃあ、君の名前をいちばん気持ちよく書ける一本を、選ばせてもらうことにするよ。 #今日の短歌

          いえないよ

          君にしか言えないことが君にだけ言えないことに変わるだなんて  小さい頃から内気だった僕は、思ったこともうまく言えなかった。でも、君とふたりきりならば、自分でもおかしいくらいに何だって話ができた。  君のことを好きになっていなければ、変わらずにいられてのかな。あの頃のまま、君の前でだけは、無邪気に何でも話せていたのかな。 #今日の短歌

          わかってる

          難しい言葉ばかりを覚えても伝えたいのはたった二文字  昇華、止揚、形而上……。聞いたことのない言葉ばかりが散りばめられる文章。注釈はあったって、その注釈を理解するまでに時間がかかってしまう。  論理国語で使うような、堅苦しい言葉はいらない。僕がずっと伝えたいのは、きっと3歳の子供だって知っている、そんな単純な言葉なのに。 #今日の短歌

          ためされる

          偏差値じゃはかれやしないことばかり試されている君の隣で  君には何もかないやしない。勉強も運動も何もかも。だから、君の隣にいる僕は嬉しくて、少しせつなくて。  解けない英文も、苦手な日本史の暗記も、君がヒントを教えてくれる。じゃあ僕は君に何ができる? 想いを伝えられない意気地なしのままで、苦笑いを浮かべることしかできないよ。 #今日の短歌

          ガラス玉

          少年は罅を刻んだガラス玉乱反射する脆くはかなく  小さなヒビばかりが増えていく。傷も痛みも、それが大人になるための試練だってこと。  眩しすぎる君に照らされる僕は、それだけで壊れてしまいそうなくらいに脆い存在。その一言を言った瞬間にきっと砕けてしまう、そんなガラス玉なんだ。 #今日の短歌

          恋歌

          逢ひ見ての後の心を知りたくて叶わぬことと分かってたって  ひさしぶりに夢を見た。図書館で本を読んでいる僕に、君は突然近寄ってきた。何を話したのかは覚えていないけれど、なぜか君から手を差し伸べてきた。  いま願いが叶うなら、こんな夢さえもバカバカしく思えるのたろう。無邪気だった頃の思い出さえも、笑い話に変えられるのに。 #今日の短歌