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対人関係やチームの心理的安全性を高める方法

GoogleのProject Aristotleというより良いチーム作りのためのリサーチ活動で、心理的安全性がいかに重要かが大きく話題となった。

心理的安全性とは、誰にも非難されず、安心してその空間や組織に身を置ける性質のことである。

チームの運営や、より良い上司たる者には、この心理的安全性が不可欠と言われており、個人的には社会人の必須研修科目なのではないかと考えている。

いかに他者を否定する人が多いことか日々嘆いていたからだ。


最近になって、前職のメンバーと連絡をとると、もう他社の人間だからなのか遠慮することなく愚痴を聞かせてくれる。

ほとんどの内容が、マウントを取る上司の話だ。

部下にやる気を出させるわけでもなく、ただその部下を否定し、我慢しろという趣旨の説明をするのだそうで、部下の言い分は無視。

非常に悲しいことだが、こう言った人はたくさんいる。

誰かの意見を否定するということは、それだけ自分は心理的安全性を失ったのだ、と思うと良い。

心理的安全性があるないというのはセリフで表現すればこういうことだ。

心理的安全性あり
「この人、僕にとって安心だな〜」

心理的安全性なし
「この人、僕にとって嫌な人だからあまり近づかないでおこう」


さて、上司として、チームとして、メンバーはどちらの心理であるべきだろうか、という議論はするまでもないことがお分かりだと思う。


それでも、人は心理的安全性を損ない続ける不思議な生き物である。それは歴史が証明していて、もし全ての人が自分以外の誰かに「安全」をアピールすことが充分できたなら、この世からとっくに戦争なんてものは無くなっている。

人間は争いを歴史に刻んできたが、こういった他者を思いやった言動が絶望的に苦手な種族だ。家族ですら喧嘩が絶えない。まだ身内を大切にするライオンの方が優しいくらいである。

心理的安全性を高める方法①

心理的安全性(Psychological safetyと言うらしい)の高い人間関係やチーム作りのコツは実は誰でもできることがあって、それは、相手の存在の重要度を高めることだ。

「あなたは私にとってとても大切な存在なんです」
「あなたはこのチームにとって重要な人材なんです」

そう思われているのだ、と感じてもらうことがコツである。

この思いを伝える方法は、ふたつ。


一つ目は、先に申し上げた、「否定しない」

やり方はシンプル。相手の発言や行動を全て「いいね」と承認しよう

これが意外と難しく、自分も挑戦してみたのだが、細かいところが気になって、「いいね」とはちょっと言い難いので、指摘しようかなぁ・・・みたいなことを逡巡してまったりして、なかなか承認ができないのだ。

この対策は「承認した量」がものを言うと思っており、ちょっと微妙だなと思った言動に対しても、「いいね。多分ここをこうすると、さらに良くなるかも?」みたいな指摘をする。

「いいんだけど」は使ってはいけない。

「いいよ。すごくいい。」と一回言ってしまった方がいい。

どうしていいのかは、言ってしまった後に考えればいいし、指摘したかった微妙なポイントは、もっとよくなる方法として伝えれば自然だ。


まず「いいね」と一回言ってしまうことで承認すると、これが不思議で、自分も相手を大切にしているなと感じることができるので、自然と相手をきちんと見るようになるということにつながる。

口に出してしまったことは撤回するのは大変なので、思い切って相手を承認する発言をすることで、辻褄を合わせるように自分の言動も変わっていく。

まずは相手の全てを否定せず、言葉で相手を承認しよう。実際にそう思ってなくても、口から先に動かしてしまえば良い。

心理的安全性を高める方法②

二つ目は、相手に「感謝の言葉をかける」ことである。

例1
「部長、これ終わりました」
「はい、OKです」

これは悪い例。いい例は、

例2
「部長、これ終わりました」
「助かったよ、ありがとう」

このように、普段「ありがとう」を言えていないところに「ありがとう」を採用していくとよい。

例1のコミュニケーションは、単純に情報のやりとりでしかない。終わったか終わってないか、受け取ったか受け取ってないか、確認したかしてないか。

その情報のやり取りしかないので、せっかくの会話であるのにパフォーマンスを最大化できていない。

例2の場合は、受け取ったと言う情報に加えて、「私は君のおかげで、精神的に助かった。感謝しているよ」というニュアンスを足すことができる。

これを聞いて悪い気がする人は少ない。「あの人を助けることができた」と言う思考を相手に抱かせることは、存在の重要度を高めるための方法として申し分ない。

事実、仕事上の関係においてはそれぞれに役割に応じたタスクをこなしていて、それをこなすことは当たり前と思いがちだが、マクロ的な視野で見たときに、そのタスクが完了していないことで自分が将来困ることになる可能性はゼロではない。

「いつもお世話になっております」とメールの文頭に書くのも同じ意味だ。

経済は循環するものであるので、その日の仕事がいつか誰かを助けることになる。それがチーム内や家族内であればその確率は著しく高まる。

感謝をしない方が不自然であるから、遠慮なくチームメンバーには感謝をしよう。

また、感謝のバリエーションをたくさん増やすと気持ちがより伝わりやすいので、日々、心の中で身の回りの人たちへの感謝の言葉を一言ずつ唱えると良い。

これを「感謝の瞑想」と読んでいて、僕も日々実践している。

身近なところでは、例えば家族に「いつもご飯を作ってくれてありがとう。ご飯を食べてくれてありがとう」と唱えるし、「自分の脱いだ服を洗濯機に入れてくれてありがとう」と唱える。

近所の人には「いつもゴミステーションの掃除をしてくれてありがとうございます」。

取引先の部長さんには「あの資料のプレゼンを聞いてくれてありがとうございます」。

チームメンバーには「こんな自分の指示をいつも聞いてくれてありがとう」。

知らない人だとしても「領収書を渡してくれてありがとう」「注文した料理を席まで運んでくれてありがとう」「YouTubeに楽しい動画をアップしてくれてありがとう」「歯ブラシを近くのドラッグストアで売ってくれてありがとう」「浄水所で水道水を綺麗にしてくれてありがとう」

など、誰彼構わず、感謝の意を唱えるのだ。

練習しなければ、感謝の心はすぐに薄くなる。人は争いの生き物だから、すぐに人を否定し、攻撃する習性があることは冒頭で話した通りだ。

心を矯正し、いつでも誰かを感謝できるように、特に身近な人にこそ感謝を伝えよう。

人は争うだけの愚かな生き物ではなく、承認と感謝に満ちた、地球上で最も美しい生物と信じて、今日もありがとうと伝えよう。


本日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。

ではまた

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