翼の少年
背中に重みを感じたまま、もうどれくらい歩いただろうか。
少し眠そうな吐息を耳元でたてる少年の温もりに、つられたように疲労を感じつつ、あともう少しと声を出す。
いっち に いっち に
少し年上の少年は、あれだけ走り回ってもまだ足りないらしく、小高いブロック塀に登ってはバランスを取ったり、飛び降りたりしている。
自宅から25分という、歩けなくもないアスレチックに行こうと思いついたのは、雨が上がった午後のことだった。
ゴールデンウィーク真っ只中、行ったことのない遊び場に、水筒を持って旅に出た。
ぬかるみ対策のため、少年たちは長靴を履いている。途中、食料を買おうと店に立ち寄って、カロリーメイトを一袋ずつ手渡すと、大事そうにリュックに押し込んだ。
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