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小説『慧子/Keiko』

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小説『慧子/Keiko』の各エピソードを時系列で収載しています。一人の女性の成長の物語を、脳科学の最新の知見を交え、スパイスリラーの要素を織り込みながら描きます。日本で生まれ育っ… もっと読む
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記事一覧

小説『慧子』18/嬉しい発見/Keiko 18/Joyful discovery

前回はこちら:  宝生がマグカップをデスクに置き、引き出しを開け、中からノートパソコンを…

K_Kameno
4か月前
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小説『慧子』17/宝生グループリーダー/Keiko 17/Group Leader Hosho

前回はこちら:  いったんはこの職場は今の自分に相応しいと思った慧子だったが、人けの絶え…

K_Kameno
4か月前
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小説『慧子』16/ハグレ者の吹き溜まり/Keiko 16/The hang‐out for deported rese…

前回はこちら:  所長の秘書に案内された脳機能計測技術研究グループのオフィスは、日本のド…

K_Kameno
4か月前
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小説『慧子』15/歓迎されざる客/Keiko 15/Unwelcome guest

前回はこちら/Previous episode:  日本に着いた翌日、慧子は、新しい勤務先である帝都大学…

K_Kameno
4か月前
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小説『慧子』14/不毛の恋の結末と日本行き Keiko14/The disastrousend of a barren…

前回はこちら/Previous episode  慧子は、博士課程以来の恋人フィリップ・カウフマンにとっ…

K_Kameno
8か月前
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小説『慧子』12/慧子の大学進学と両親の離婚 Keiko12/Keiko went to Univ. and her…

第1話~第11話まで慧子の心の動きと発想を丁寧にたどってきましたが、作品の核心部分を早くお…

K_Kameno
8か月前
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小説『慧子』13/両親の離婚の真相と慧子の絶望 Keiko13/The truth about her parents' divorce and Keiko's despair

前回はこちら/Previous episode  学部課程を修了した慧子は、人間の無意識と意識の関係を科学的に追究する決心をする。自閉症の子供たちのためのフリースクールの運営を手伝いながら理科系の大学院への進学準備をすること1年。慧子は、カリフォルニア州ではエル・カミノ大学と並ぶ名門校、オークランド大学の神経科学大学院に進学する。こうして、慧子は、脳神経科学者としてのキャリアをスタートさせるのだった。 After completing her undergradu

慧子/11.デネットの反論 Keiko/ 11. Counterargument by Dennett

前回はこちら/Previous episode  リベットの実験結果によって人間の自由意志の存在が否定さ…

K_Kameno
9か月前
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慧子/1.悔しさ Keiko/1. Chagrin

 ペダルがひどく重いのは、丘を登っているからだけでなく、灰色の空が自分の上に覆いかぶさり…

K_Kameno
11か月前
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慧子/2.疎外感 2005年9月  Keiko/2. Alienation 

前回はこちら/Previous episode  しかし、今朝、慧子の足と心を重くしているのは、この上り…

K_Kameno
11か月前
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慧子/3.実験 2005年9月  Keiko/3. An Experiment September 2005

前回はこちら/Previous episode  科学の授業は、午後の一時限目だった。教師が現れる前の…

K_Kameno
11か月前
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慧子/4.視点 Keiko/4.Viewpoint

前回はこちら/Previous epoisode  「私は、被験者は、実験中に腕を上げようと思うより、も…

K_Kameno
11か月前
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慧子/5.疑念 Keiko/5. Doubt

前回はこちら/Previous epoisode  「ちょっと言いにくいのですけど」 教室の後ろ隅からデヴ…

K_Kameno
11か月前
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慧子/6.パラダイム・シフト Keiko/6. Paradigm shift

前回はこちら/Previous episode  ティムが、デヴィッドと慧子の顔を眺め渡してから、言った。 「今、デヴィッドとケイコが言ったことを、私は、次のように理解した。単純な動作を意識して起こす必要はないが、価値判断を含む意思決定は、意識して行う必要がある。それで、あっているかな?」 「はい」 「その通りです」 After Tim looked over at David and Keiko's faces, he said. “Now, I understan