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構造的な分析、個の能力指標があって正しい評価、未来を見据えた指導ができる。【ジュニアの分析02/僕の仮説39】

先日、オンラインセミナー「ジュニアサッカーにおける『試合の分析法(見方)』」を開催した。初めて自分が講師を経験し、文字で伝えることとの違いなど、あらためて気づくことがたくさんあった。

参加者には感謝しかない。

強く感じたのは、私の当たり前と参加者の当たり前とのギャップだった。もっと目線の重なり合わせを大きく作っていかないと伝わらないと感じた。きっと自分の思い上がりもあったのだと思う。本当に困っている現場の育成コーチは「何がわかならいのかさえわからない」人たちもいるのだ。

しかし、現実はそういうコーチの存在があって、多くの子どもたちがサッカーをプレーできている。

少なくとも、ジュニアサッカーを専門に取材するライターとして、そういう人たちの声を知った上で活動しなければならない。そう、自分を戒める場所でもあった。正直、サッカーの習い事化の波は止まらない。世界的にも、経済的に豊かな家庭の子たちがプレーするスポーツになりつつある。日本でもその兆候は見られる。ボールが一個あれば、多くの人が、大人も子どももいろんな人が楽しめるものだったはずだ。

セミナーの最後に質疑応答を設けた際、指導を始めたばかりで小学校低学年を受け持っているコーチに相談を受けた。

「試合をするとボールにばかり集まってしまう。チームを形作りたいけど、どうしたらいいのか? 小学校低学年からチームづくりをやってもいいのか?」

私は「攻撃のときは広がる、守備のときはしぼむと小さい頃からイメージとして伝えていい」と答えた。その後、こう続けた。

「それを1か月、半年、1年、イメージを伝え続けると、子どもたちが2年生になった頃には自然にチームとしての動きを体現できるようになる。そして、学年が上がったら、次は個々に対して「どこに」「どのように」動くのかを少しずつ問いかけていく。そうやって段階的にゆっくり浸透させたらいい。そのときに「なぜ」という情報を織り込むと選手のバックボーンになる。その作業をまたコツコツと時間をかけてやると、3年生になる頃にはサッカーをプレーするようになる」

まだサッカーを知らず、用語の意味すらわからないのに、コーチが「◯◯にポジションをとれ」と並べて立ててもサッカーっぽく、チームとしての機能性を持てるはずもない。ヨーロッパではチームの動きを傘に例え、攻撃は開く、守備は閉じると伝える国もある。子どもの頃はイメージが大切だ。

チーム全体のイメージがつかむことが第一歩。その後、個々のレベルに応じて適切にどんな立ち位置をとるのか、その理由とともに指導していく。子どもに全体像も伝えていないのに、いきなり個人とやりとりしてもチームのして形作れるはずもない。イメージはないけど、たまたま一人がコーチの想像にハマっていて、そのまわりの子に一生懸命指導したとする。でも、次は偶然ハマった子が違うことをやればすべてがパーになる。

チームとして再現性を作り出すとはそういうことだ。

サッカーはチームスポーツである。子どもの頃は全体の動きをイメージとして掴むことがスタートだ。これはパルメイラスやスポルティングなど世界的な名だたる名門クラブの育成コーチが当たり前に試合で取り組んでいること。10年間の取材で見聞きしたことだ。そして、チームを形作るとき、日本とサッカーの歴史ある国との大きな違いがある。

試合では、ボールがある局面から離れる選手ほど細かく指導していく。

これがヨーロッパと南米の名門クラブの方法だ。しかし、日本ではボールのある局面に関わる選手ばかりに声が飛ぶ。とても大きな違いであり、埋めることのできない差につながっている。低学年のコーチが試合で局面にばかり目を向け、そこに対する声ばかりかけ続けていたら、子どもたちはどうなるだろうか?

きっと自然にボールにばかり寄っていくようになる。なぜなら子どもは「サッカーってボールがあるところでやるんだ」とイメージがすり込まれてしまうから。私も街クラブの指導現場に立つし、小学校低学年の試合も取材するが、小さい頃から天然でカバーや全体のバランスをとった動きをできる子は結構いる。

しかし、現状はそういう子や、そういうプレーを評価してあげられる土壌が少ない。

サッカーを見る目、サッカー選手を見る目、子どもの才能を見抜く目を持っているコーチが少ないのは否定できない。当然、知識の質量、指導経験の質量が大きく関わるが、日本の育成コーチに思うのは「他のコーチとオープンにそういう話をしない」ことが起因していると考えている。

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