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サッカーに必要な"幅と深さ"を学ぶタイミングはいつ? ヒントは思考力の発達にあり。 【コーチの評価06/僕の仮説19】

私がアドバイザーを務める街クラブでは、サッカーに必要な"幅と深さ"を本格的に指導するのは3・4年生くらいからでいいと思っている。

本音をいえば、小学校3年生くらいまではたくさん体を動かして、たくさん笑って、たくさん悔しがって「サッカーに思い入れを持つ」ことに注力すればそれで十分だ。一昨年、2月に東京ヴェルディの強化部テクニカルストラテジストに就任した坪井健太郎さんに取材したとき、スペインのあるプロクラブでは「あえてクローズド・トレーニングを取り入れるようになった」ことを聞いた。

理由は「子どもの外遊びが減ったため、入団してくる選手の体の動かし方・使い方、そしてボールとの関係性がレベルダウン傾向にあるから」だということだった。

子どもの運動能力の低下は、世界的な課題だ。ドイツなど他の国で指導しているコーチも口をそろえて同じことを語る。想像がつくだろうが、デジタル社会の普及と発展により「スマホ・ネイティブ」が現代の子どもにとって当たり前の状態だから、子どもがインドア傾向になるのは仕方がない。

むしろ、この事実を受け入れて「どうするか?」と前に進むだけだ。

だから、私たちのクラブでは低学年の頃に"サッカーをする"ことだけに固執した考えは持ち合わせていない。もちろん私たちのクラブ哲学に沿った指導なので、他のクラブに当てはまるものではないが、事実を受け入れること自体はすべてのクラブとコーチに共通することだ。

そして、これから先も普遍的な事実に変わりはないのは「クラブが進む道は自分たちでしか切り開けない」こと。

向き合うのは"今"しかない。すでに変わってしまった世界でこれまでどおりの指導でいいのか。私は、"今"それぞれのクラブに突きつけられた問題だと考えている。そう遠くない未来、きっとこの問題に真剣に取り組まないクラブは慌てることになるのではないか。そう予想している。

少し主旨から逸れたので、テーマを元に戻す。日本の子どもがサッカーに必要な"幅と深さ"を認識できるようになるには、その一つ前段階での準備が必要だと感じる。

写真提供=佐藤博之

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