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モチベーションコントロール=人の感情を操ることはジュニア指導で必須事項。【個とチームの関係10/僕の仮説54】

■「認知→決断」に至るには感情が必須!

人は感情によって意思決定を行っている。

これは近年の脳科学研究で発表されている理論だ。サッカーでは一般的にプレーする過程を「認知→判断(決定を含む)→実行」だとうたい、判断の部分が重要だとうたわれているが、この工程は「考える」作業であるため、ここに時間がかかるほどプレー速度は遅くなる。

しかし、現代サッカーではハイレベルになるほど素早い判断が求められる。そのため、たとえばヨーロッパチャンピオンズリーグを戦うような選手たちは「認知→決断→実行」という過程になるくらいでないと、相手を上回ることはできない。

カタールリーグのアルサッドで監督を務める元スペイン代表のシャビ・エルナンデスが2014年に放送されたNHKの番組「ミラクルボディ」で見せた過去の記憶(プレーメモリー)からとっさにプレーを選択する姿は、まさに「認知→決断→実行」に近い形だったと言える。

彼は、過去の膨大なプレーメモリー(≒成功体験)の中から瞬時に状況に応じた適切なプレーを選んでいる。この番組内での実験結果と、近年の脳科学研究の理論は非常に結びつきが大きいと考えている。私自身が脳科学者に取材した過去の内容でも、物事の決断に大きく関与する要素が「感情」であることは直接耳にしている。

だとすると、シャビはFCバルセロナという世界最高峰のクラブだからこそ得られる数多くの印象的な成功体験を膨大に蓄積できた選手の一人。より「認知→決断」という理想的な工程を踏んでプレーできる選手ではないかと思う。

視覚情報が8割、9割を占めるサッカーでは、「認知と決断がどう結びつくのか」がプレー速度を高める方法であり、それはパターンではなく、原則に基づいたトレーニングと原則のない状態での判断トレーニングの両方を小さい頃から経験させる中でプレーメモリー(≒成功体験)を蓄積できるかが重要だと、個人的には感じている。

その経験をさせる中でポイントになるのが「ポジティブな感情を抱けるトレーニング」である。なぜなら人間はポジティブな印象を持った成功体験から順に記憶の引き出しが開くようにできているからだ。過去、脳科学者に取材したときに直接聞いた内容なので信頼できる情報だ。

だから、練習環境を整えるのに重要な要素の一つには、間違いなく選手のモチベーションコントロールが挙げられる。

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■モチベーションは内的要因と外的要因の両輪

さて、モチベーションとは何か?

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