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恩人

 私が生まれた街は、山形。
 そして、私という人間を作ってくれた街は、杜の都、仙台。
 仙台は、自分が光っていけるものと出会い、汗や涙を重ね続け、そして人の出会いに多くの教えを授かることができた、オンリーワンの街。だから私は、この街が自分の故郷であり、仙台を愛していると、何時でもそう言うことができる。
 そんな、愛する街、仙台。
 私にこの街とのご縁の選択肢を与えてくれた恩人がいたことを、これからも決して忘れることはない。この人物との出会いがなかったら、私のこれまでの歩みは、まったく違ったものになっていた。
 昨日は、恩人の誕生日であった。突然の別れの儀から、数年経過しても、恩人の誕生日が記憶から流れ去ってしまうことはない。
 恩人に対し、私は、恩返しどころか、突然の別れに際しても、ありがとうの言葉さえかけてあげることが出来なかった。いつもいつも、私は失った時ばかりに大切な気付きと向き合うこととなってしまう。
 人の道とは、只々無情。いや、当然ながら無情なのだ。
 今更ながら、其のことを知る。

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