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アマポーラ

 今日は、幼馴染の同級生が旅立っていった日。
 ずっとその事実を知らなくて、亡くなったことを知らされた時、もう既に故人となって10年が経過しようとしていた。4年前の丁度その時、初出版の詩集を世に出す時期と重なり、故人である同級生・Mちゃんへ捧げる詩をラストに掲載した。

タイトルは、「ひなげしの君へ」

 控えめで素朴ながらも、確かな主張を帯びたひなげしの佇まいに彼女のイメージを重ねてしまったのは、只々ナチュラルな着想であったと断言していい。いま、この季節はひなげしの開花最盛期で、今日も様々な場所でこの花を見かけた。
 ひなげしは、スペイン語で「Amapola(アマポーラ)」。スタンダードナンバーとして知られる名曲「アマポーラ」を、4年前に開いた詩集出版記念イベントで、ジャズ・ヴォーカリストの斎藤栞さんに披露してもらったことがある。
 嬉しい時間だった。
 毎年、ひなげしの花を道端で見かけると、幼馴染に見つめられている気がしてしまう。彼女は去ってしまっても、検証役として私の心に生きていてくれているようだ。
 ひなげしの花言葉は「心の平穏」「いたわり」「思いやり」、そして「別れの悲しみ」。
 この花が咲き誇る時期に、彼女は何も言わずに逝ってしまっていた。

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