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くらげの骨

第2回私立古賀裕人文学賞 応募作品 テーマ:アメリカの入学式 古い言葉はよくできている。 例えば "類は友を呼ぶ" 紀元前8世紀の中国で生まれた言葉らしいが、これほど人生を端的に表した言葉はないだろう。 ・上司の叱責に愚痴を漏らす部下 ・家事をしない夫に不満を持つ妻 ありふれた光景だが、彼らは自分の人間関係を自分で選択していることにまるで気づいていない。選べない人間関係は、自分を産み落とす親の存在だけだ。 ーー 新しい言葉はよくできている。 例えば "なぁぜなぁ

    • これは、なんだろう。

      第1回私立古賀裕人文学賞 応募作品 テーマ「蒐集」 執筆時間:55分 文字数:1,127文字 男子小学生はモノを集める。 蒐集対象はその辺の小石に始まり、木の枝、王冠、トミカを経てトレーディングカードに到達するのが一般的だ。 しかし札幌市清田区の川沿いで生まれ育った石川少年の家庭では、慎ましく健やかに生きることが何よりの信条とされていたため、1箱500円を超える贅沢品のトミカを、親が私に買い与えるなんて!......天地が逆さになってもあり得ないことだった。 7歳とい

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