美容室 対 私。

私は美容室が苦手だ。

美容師さんが苦手なわけではない、その色にどうしても馴染めない私が見ていてとても居た堪れなくなるから苦手なのである。陰の者に、美容室という存在は眩しすぎるのだ。

(今回は自虐要素が多め。暇つぶしに笑いながら見守ってくださるとありがたいです。)


だからといって美容室に行かないわけにはいかない。家で染めることやセルフカットなどの手もあるが、不器用且つネガティブな為、専門職の人に過程を見られることがどうにも耐えられない。気付いてくれる優しさが、私にとっては命取りになる。

実際「前髪、自分で切られました~?」と話しかけられたときは(もう一生前髪を自分で切ることなんてしないので見逃してください)と心の中で唱えたもの。技術面での専門分野は特にそう、その手の人に任せるのが1番である。


そう思いながら、この前美容室へ行った。

終えてからのnoteの呟きがこちら。

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美容室に入る前はお正月をどう過ごしていたかを確認、会話のシミュレーションもバッチリおさらいし、生唾を飲み深呼吸をしてお店に入った者とは思えない心の余裕がこの呟きにはある。ある意味魔法にかけられている。


そう、髪を切ったあとは正直ルンルンだ。浮足立っちゃう。スッキリするし、いい匂いはするし、髪はサラサラ。「人間になれたー!」と心から思える瞬間がそこにある。


髪を切り終えた後はこんなにも嬉しそうなのに一体何に怯えているのだろうか。美容室のどこが苦手なんだろう。今日は入店した際によくやる脳内独り言をなぞりながら孤高の戦いを記していきたい。


1. 試される挨拶


割と最初のトラップはここ。挨拶。回転椅子に座るときも(あぁ、重くないですか?大丈夫ですか?)とヒヤヒヤしながら座り「よろしくお願いします~!」と挨拶をする。この挨拶。どこを見たらいい?鏡越しの挨拶がベター?私は後ろを振り返って挨拶をしがちなので、ここで目と目が合わずに心が気絶してしまう。そろそろ学習してほしい。見つめ合うと素直にお喋りできない前に目と目が合わないと見知らぬ2人のままだから。


2. これは相談ではない、作戦会議だ!

ヘアスタイルの相談。ここで多少心が強ければ芸能人の名前をあげて「こんな感じにしてください!」なんて言えるのだろうか。私にはその勇気がない。緊張しているので何cmカットしてくださいという冷静な判断も出来ない。ヘアカタログを出されても今の自分とモデルさんが一致するなんて微塵も思っていないから「こんなカンジ」も中々言えず。ぶっちゃけ髪型にそこまで拘りもないので尚のことその時間がもどかしく申し訳なく「切ってください!どうぞ!」と生放送で尺を見誤る新米司会者のようになってしまう。

ちなみに今回は髪を伸ばす予定で店に入ったものの意思疎通がうまくとれずテンパってしまい「これくらいで!」と指さした位置が思いの外うえになってしまった。結果、気付いたら8cmほど髪をバッサリ切ってた。まぁいい。髪を伸ばしながら、次回の作戦を練ろう。


3. 男子中学生の葛藤、雑誌チラリズム。

オレンジページを置いてくれ………。

美意識に対して申し訳なさをトッピングする人間は、女性向けファッション誌に対してこれは読んでもいいものだろうかという無駄な葛藤をしてしまう。興味はあるんだ。例えるなら男子中学生がはじめてグラビアアイドルの雑誌に手を出してみる…そんな背伸びをするような感覚が未だに根付いている。

しかし、雑誌とはポケモンでいう”あなぬけのひも”。熱心に読めば読むほど会話の機会を減らし、その場から抜け出せるお助け道具であり、コミュニケーション能力を著しく下げるアイテムだ。早く手に取らなければゲームオーバーになってしまう。いそいそとタイミングを見計らい手に取ると週刊少年ジャンプより厚みはないはずなのにとてつもなく重く感じる。女の子って強いや…と思いながらページを捲るのだ。

ここで注意が必要なのが見ているページ。たまにあるんだ性に関するページが。いや、大事だよそういうことを考えるのも。でもね、私はやっぱり心が男子中学生なので美容師さんの前では開けない。美容室は茶の間なんだ。なんだかちょっと…照れるんだ…。

※ちなみに安心して読めるのはレシピと占いのコーナー。雑誌を4冊ほど置かれるが占いのコーナーだけは4冊全部見ている。


 「ここが好き」


茶の間と言えば、カラーの待ち時間にはよくお茶を差し入れてくれる。あの時間はとても好きだ。私が今の美容院に通っている理由は温かいお茶とヴェルタースオリジナル(飴)をくれるから。特別な存在は私ではなくヴェルタースオリジナルなのである。


4. 眼鏡を外すと本気に…なるわけがない。


先ほど雑誌の話をしていたが、眼鏡を外された私は戦闘力3になり雑誌を見ることは勿論のこと、どこまで髪を切られているのかすらわからない。何も見えないがとりあえず雑誌を読むフリをしている。一度、それを察したのか美容師さんがクッションを手渡してくれたことがあった。雑誌を近づけて読むのもまぁまぁ力が必要なのでその気配りに感動。「ありがとうございます!」の声の調整がうまくいかず馬鹿でかい声で言ってしまったのが悔やまれる。美容室に行くためだけに今はコンタクトを買おうかすら悩んでいる。


5. 痒くないですか?疼くことはあります。

痒くないので続けて(やせ我慢)
「はい」のバリエーションだけは豊か。痒みは大抵我慢できるが耳が弱いので触れられると思わず下唇を噛んでしまう。出来ればタオルは目元だけではなく顔全体を覆ってほしい。お通夜になったっていい。顔がとんでもないことになっているから。あとここだけの話、通っている美容院の唯一の欠点はタオルがちょっとくさいこと。しかし、いい匂いがしたらしたでニヤニヤしてしまいそうだし、単純に眠くなるのであれぐらいの臭さがちょうどいいのかもしれない。


6. 外に出るまで油断をしてはいけない


髪を切り終える頃には「どうですか?」と尋ねられることだろう。大抵は「いい感じですね!」とよくも分からず答えてしまう。そのあと微調整が入ると(クッッ…試されていたのか)と駆け引きに負けた顔をする。美容師さんのヘアアレンジは素敵なもので、その日1日だけは完璧な私でいられるし、呟きにもあるように、誰かに会いたくなってしまう。

※大抵仕事終わりに美容室に通うので誰に会うこともなく帰宅する。


微調整といえば昔、こんなことが。

お会計を済ませたあと、エレベーターが来るのを待っていたら美容師さんが後ろから髪をちょちょっと弄り「うん、可愛い!」と言ってくれた。

…そんなサービスまであるのか?

照れてしまいエレベーターに乗ってからドアが閉じるまでの間、頭をヘドバン並にペコペコ下げた。せっかく綺麗にセットしてくれたのに。申し訳ない。


✂✂✂


このように、美容室に通うと脳内独り言のオンパレードが止まない。実際は「おねがいします!」「そうですね!」「はい!」「大丈夫です!」「ありがとうございます!」を繰り返しているただの眼鏡だ。いつになったら慣れるのだろう。大丈夫、怖くない。それは分かっている。分かっているつもりでもどうしても緊張してしまう。妖怪「美容室でお喋りできない眼鏡」は髪を切ることで人間になれるのだとしたら、対等に喋れる日は恐らく髪を切ったあとなのかもしれない。完全なる敗北である。

集まり次第、こちらのnoteにてどんな事に使ったのか報告をさせて頂きます。サポートの調理はお任せあれ!