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平成最後の夏に降臨した、【アシェットデセール7体神】を振り返る。

時は平成30年、平成元年という響きに懐かしさを感じつつ、次の世代へ向けいよいよ過ぎ去った平成最後の夏。
日本中が平成最後の枕詞を唱え足跡を残そうとしていた中、果たしてどこでなにが起き、あなたはどこで何をしていただろうか?

私はもちろん「ブロンディール」に通っていた。
とにかく通っていた、あの畑を超えて。

そう、夏季限定で提供される珠玉の「アシェットデセール」を味わい尽くすために…!

アシェットデセールとは皿盛りデザート、通常のガトー(ケーキ)が出来上がっている状態でショーケースに並んでいるのに対し、注文を受けてから仕上げ皿盛りの状態で提供される。
一皿全体で味わうデザートなので、ガトーよりも温度差食感などクリエイティビティの幅が発揮できる、まさにシェフの総合力が味わえるものがアシェットデセール、それはつまり藤原シェフを一皿で300%味わえるといっても過言ではない。
そんな藤原シェフの魂が注ぎ込まれた一皿が、なんと7皿も登場したのだから、アマイタマシイ周りの住民にとってはそれはもう一大事件だった。

※アマイタマシイ=甘い魂=杉本亜未先生がお送りするケーキを題材として様々な問題を世に問う漫画。ケーキを通して描かれる人の業、仕事、人生、愛、町興し、登場人物それぞれが放つ言葉の数々は胸に深く突き刺さる魅力に溢れ、最終的には人間賛歌のような余韻を味わえる物語。甘くて酸っぱくてほろ苦くて元気にさせてくれる後味の良さは、美味しいケーキを食べた後のよう。


あの熱い陽射しの中、幾度となく通い、味わい、余韻し、発信していた。
一種の使命のように只ひたすらに通っていた。

では、現場で何がおきていたのか?
TwitterのTLで振り返ってみたいと思う。

平成最後の夏は、6月末の早すぎる梅雨明けとともにいきなり始まった。
昨年は7月下旬に始まったアシェットデセール提供が今年も行われるのか、まだ何も情報が出回っていない中、既にその気でいた。

昨年の記憶を呼び覚ますためTLを遡ると物凄い熱量で語っている自分がいた。全ては此処から始まった。至高のアシェットデセール「ペッシェメルバ」、藤原シェフのデセールをまさに象徴するような孤高の存在。

プレ運転として一足早く提供開始。早速向かうとツイッターにてお世話になっているAkiraさんと偶然にも隣り合わせに。お互いに舌鼓を打ちつつ、初対面にも関わらず直感で気付き、ご挨拶を交わす。
女性だけではなく漢にも支持されるブロンディール。

2018年、突如として降臨した新たなる神(デセール)は、キャラメルとアングレーズソースのプールにダイブ、ホワンホワンメレンゲがプカプカ浮かぶキャッチーさ。

その名の通り神々しいまでに鮮やかな真夏のマンゴーと陽射しを除けるキャラメル帽で登場、もう一体の2018年新たなる神(デセール)。

2018年新作の極め付けはショコラ。予想だにしなかった状況の中、ショコラクラスタ方々の間で話題に。藤原シェフの底知れない腕前と守備範囲の広さ、そして美学が余すことなく発揮されている。

これを今年も待っていた。2017年ある範囲で一世を風靡したヌガグラ、ヌガーグラッセは日本では食べられない憧れの存在だった、それが目の前に現れたことの衝撃、想像を絶する旨さの前に瞳を閉じ天を仰ぐ者が続出した。

甘魂者(アマタマ者)たちの憧れ続けていた夢が現実になった瞬間。

今年の夏は本当に暑かった、序盤から全開で飛ばしていた。一旦落ち着いたかと思ったらデセール日和の真夏日が戻ってきて歓喜のあまり、キャラメルソースがグラデーションする美しきアングレーズソースのプールへとダイブしたい、という妄想。

藤原シェフといえばメレンゲ、メレンゲといえば藤原シェフ、そしてフランボワーズ遣い、甘さの中に鮮烈で可憐な酸味をもたらすフランボワーズは藤原シェフを語る上でなくてはならない。
全てのムラングシャンター(ムラングシャンティ好き)に捧げたい。

いよいよ平成最後の夏も折り返しに。夏祭り花火そしてアシェットデセール、まだまだ暑い夏日は続くなか、あの畑に咲く花たちも力強く呼んでいた。

アマイタマシイの持ち主なら誰でも一度は憧れる、出来立てキャラメリゼを施した儚い絶滅危惧種、ピュイダム。愛のダム=ピュイダムを崩壊させると、とろっとろっとのカスタードが溢れ出る。

最後の締めはすでに秋風感じる9月半ば過ぎ、最終日の最終時間に。
藤原シェフとは会釈のみで言葉を交わしていない。デセールを通して会話をするように、最後のひと掬い、お皿についたソースまで全てを心から味わい尽くした。

最後のひと皿を頂くとテラス席から店内のカウンターへと席を移した。
目に飛び込んで来たのは『Fin』の文字。
過ぎ去りし平成最後の夏を思い返し、7つのアシェットデセールを生み出し愉しませてくれた藤原シェフに感謝しつつ、深い余韻に浸った。

このようにして平成最後の夏は、ブロンディールのアシェットデセール祭りで終わっていった。実際の祭りと同様に季節限定の催し、アシェットデセールの素晴らしさに感謝し、讃え、何より愉しむ。
これがアシェットデセール7体神と表現した所以である。

Fin.










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