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2023年6月15日 サブゼミCA

テーマ

「入管難民法を改正すべきか?」

記事

法務省によると、現在、日本の入管難民法における問題には、「送還忌避問題」、「収容を巡る諸問題」と「紛争避難民など確実に保護する制度が不十分」三つがある。その中では、「送還忌避問題」と「収容を巡る諸問題」に対応する法改正が国会だけでなく、日本社会において広く議論されている。今回のCAは主に「送還忌避問題」に対する法改正について議論したいと考える。
 
「送還忌避問題」の現状とは、入管法に定められた退去を強制する理由(退去強制事由)に該当し、退去すべきことになった外国人の多くは、退去すべきことが確定したにもかかわらず退去を拒む外国人(送還忌避者)もいる。出入国在留管理庁によると、2021年12月末まで、その数は3224であり、その中には、1133の人は日本で前科を持ち、さらにうちの515人は懲役1年以上の前科がある。2022年12末まで、退去を拒む外国人の数は4233までに増加していた。(出入国在留管理庁)
今まで、難民認定の申請は何回までもできるが、今回の法改正によって、難民認定を3回以上申請し、難民や補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出できなかった場合、難民認定手続中であっても退去させることを可能になる。(入管法改正案)
また、2021年のデータで、日本の難民認定率はドイツの25.9%(3万8918人)とアメリカの32.2%(2万590人)に比べると、わずか0.7%(74人)の非常に低い水準であり、2022年の認定率は2.0%である。(難民支援機構、立憲民主党)

議論:立論者の立場と意見、及び反論

立論者は、入管難民法の改正(難民の認定を厳しくする)に賛成の立場をとる。(反論は「反対」の立場から行う。)

前提確認

・入管難民法の改正で収容施設の劣悪な環境も改善されるのか?
→改善されると言われている。

なぜ日本は厳しくするのか?
→日本は保守的。外国人を受け入れすぎると支持率が落ちるなども考えられる。

・2回目で申請が通った人の事例もあるか?
→政府としては回数の問題ではなく不法滞在する人への対策をしたい。1回目で申請が通ることもある。


議論①

日本は昭和57年難民認定書に加入し、令和3年まで、難民認定数は1117人、認定しなかったものの、人道上の配慮(家族の原因など)を理由に在留を認めた人数は5049人である。
→事情を持つ人は、難民認定されなくでも、人道的な配慮で合法の在留を取れる。

・不法難民の子供はどうなるのか。
→子供への配慮はされる。

・送還されるのでは?
→されない。

議論②

難民認定手続中退去させることを可能となった対象は、3回の申請も認定されず、「相当の理由がある資料」がない場合である。3回の申請まではそもそも時間がかかる。
→「相当の理由がある資料」があったら、難民認定手続が続く。時間の余裕もある。

・相当の理由がある資料とは?
→拒否されて以降新しい資料がなかった場合は退去させられる可能性がある。

・資料の例は?
→帰国したら殺害・迫害される可能性が示されている資料など。

・現在の基準よりも厳しくするのは、本当に保護するべき人が漏れてしまう可能性があるのでは?
→迫害される恐れがあるだけで全員を受け入れてしまうと日本の治安に影響が出る。

・現在、人権侵害に対して国連なども慎重になっているなかで、これ以上厳しくするのは人権侵害にあたるのでは?
→難民に認定されなくても在留はできる。

・留学等在留のための理由はたくさんあるが、在留するために必要な語学力などを身につける余裕がない人もいる。
→申請期間中という猶予はある。

議論③

3224人のうち、1133の人は日本で前科を持っている。法改正しない限り、退去すべく人を強制に退去させない。
→放置した状態とすれば、外国人全体への言われない不信感を抱かせる可能性があり、元々退去すべく人が退去しない現状では、保護すべく人に対して不利益がある。

・前科はどんなものか
→外国人が日本でした犯罪全て。

予想される反論・再反論①

認定の手続きはまだ不透明である。
→附帯決議の中では、「難民等の認定申請を行った外国人に対し質問をする際の手続の透明性・公平性を高める措置について検討を加え、十分な配慮を行うこと。」と書いている。これから政府は手続について透明性・公平性に取り組んでいく姿勢がある。

・送還忌避罪が新設される。何をもって承認されるかの透明性がないため、日本人が犯罪幇助にあたってしまう可能性が出てくる。
→問題ないのではないか。

予想される反論・再反論②

外国と比べると、日本の難民認定率は非常に低い。
→難民認定されなくても、人道的な配慮で合法の在留が取れる。

・今まで難民認定の数が少なかったのでは?
→在留の資格が色々あり、日本に在留することが可能。

・難民認定する必要性は?
→長期的に滞在できる。あらゆる権利が付与される。

講評:教授から

どちらか一方に与することはできない。
保守党の意見もわかる反面、人権問題が絡んでくる。
一番の問題は難民認定そのもの。基準をヨーロッパに合わせる。
受け入れは有無を言わさず受け入れるべき。それが先進国の務め。
その上で何か制限をつけるのであれば問題ない。

参考文献

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230609/k10014094811000.html

https://www.moj.go.jp/isa/laws/bill/05_00007.html

https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00420.html


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