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【新生活におすすめな本】ゼロからトースターを作ってみた結果

こんにちは、Harryです。

最近どんどん暖かくなってきてますね。春から新生活でトースターでも買おうかな、という方もいるかと思います。

本日はそんなトースターを買う時にでも思い出してほしい、おすすめの本を紹介します。

題名「ゼロからトースターを作ってみた結果」

題名だけ聞くと、へぇトースターって作れるんだ、とか、何か素材を買ってきてDIYしたのかなと思うかもしれません。

しかし以下の表紙にあるものを見てください。これは、本当にゼロから、つまり原材料を採ってくるところからトースターを作ったノンフィクションのお話です。

ゼロからトースターを作ってみた結果

あらすじ

この本は、ロンドンの学生トーマス・トウェイツが、ゼロからトースターを作ることを思いつき、9か月間様々な試行錯誤をしたドキュメンタリー小説です。

彼は以下のルールに従いトースターを作りました。

  1. 作られるトースターは店で売っているようなものでなければならない

  2. トースターの部品は全て1から(=土から掘り出された状態の原料から)作らなくてはいけない

  3. 自分にできる範囲で(=産業革命以前に使われていたものと基本的に変わらない道具を使って)トースターを作る

このルールにのっとった結果、
・鉱山で手に入れた鉄鉱石を自宅の庭で様々な方法で加熱して鉄を作り、
・原油を獲得してプラスチックを作れるか試行錯誤し、
・お金がない中、ニッケルは海外に行かないと採れないのではと悩み、、
など、実際に部品を作れたり、作れなかったりしながら最終的には表紙に書いてあるようなトースターを作り上げました。

マイカを鉱山から削り取った様子(出典:https://yadokari.net/uncategorized/29900/)


自宅の庭で鉄を取り出すための試行錯誤(出典:https://yadokari.net/uncategorized/29900/)


小説の最後には、集めた部品を組み立てた実感から、現代の消費社会をユルく考察して締めくくっています。

おすすめポイント

とにかく本当にトースターはできるのか、とワクワクしながら読み進められます。

この過程で、様々な壁にぶつかったときに、トーマスはものすごく自問自答するのですが、その語り口も面白いです。

初めに調査のために買ってきたトースターを解体したときは以下でした。

すべての部品を「バラ」になるまで分解すると、部品数は404個にのぼった。
~中略~
科学者の分析を仰げば、材料の数は簡単に100種類を超えてしまいそうだ。
……マジかよ。
多少厄介だろうと思っていたけど、それにしたって400種類以上のパーツとか本気?100種類以上のどこからきたかもわからない材料をそろえろだって?これだけ多くのものを詰め込んだものが、チーズ(それも高級じゃないやつ)の値段と変わらない、3ポンド94ペンスとかおかしいだろ?
いいだろう。そういうことなら、こいつに一生をかけてやろうじゃないか。100種類の材料を探し求めて地球を旅し、凍てつく氷河や南国の森、そして忘れ去られた湖で半導体を探す。全然悪くはないね。無精ひげを伸ばしてもいい。何年かして仲間の旅人に自分がしてきたことを話せば、そいつらが僕の伝説を触れ回ってくれるはずだ。そのうちフェイスブックに「トースターを作るためにインドを放浪する型破りなイギリスヒゲ男のファン」なんてグループができてさ……。
……できるわけないだろ。

ゼロからトースターを作った結果 第1章から抜粋

こんな感じで、まじかーと思いながらも、トースターを作るという目標にむけて、どうやったらできるのかを試行錯誤して、多くの専門家にも相談します。この様子がとても人間味あふれてて面白いです。

また、こうしてトースターを作った後、売り物のトースターと一緒に並べられている写真からも、普段身の回りにある商品の中に詰まっているものや、現代の消費社会について考えるきっかけにもなる本だと思います。

売り物のトースターと一緒に陳列(出典:https://yadokari.net/uncategorized/29900/)

最後に

この本を読むと、この現代社会で身の回りに溢れている電化製品を見る目も変わるかもしれません。

春からの新生活で電化製品を購入するときにもちょっと思い出してもらえると良いかなと思います。


ゼロからトースターを作ってみた結果
新潮文庫
トーマス トウェイツ (著)
村井 理子 (翻訳)
990円


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