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海の近く田を営む邑

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弥生時代の人たちはどんな風に暮らし、何を思っていたのだろうと想像しながらの呟き。
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2024年3月の記事一覧

古代の春 三

「住処を建てるそうだ」
焼いた魚をむしりながらととさまが言い、かかさまが「誰の住処だね?近く娶りする齢のものも居ないだろうに」と聞き返した。
ととさまは粟の入った粥を飲み干して「先だって兄邑の長と連れ立って来た男よ。ここの田仕事を珍しがって、やってみたいそうだ。今は長の住処で寝起きしているからな。新しく住処を作るのよ」と答えた。
ハヤタリは匙で粥を掻き回しながら目を丸くして住処の中を見回した。

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