個人情報保護が意味をなさなかった、その昔

もう、田舎に住んでますと、個人情報なんか保護しようがございません(笑)。

ぼくがUターンして一番驚いたのは、”各戸固定資産一覧”的なものが回覧されていたこと。もう、どの家が時価でどのくらいが丸見えなのです。というのも、”田んぼの水争い” やら ”植林地の諍い” が古来からあったので、”どこその家の土地”  というのは把握していないとケンカ・訴訟に勝てない・・・笑。

そして、繁忙期は地域総出で農作業です。労働者をお互いに貸し借りして、一気に作業を進めないと地域全体が上手く回りません。上の田んぼで代掻きが遅れると水入れが上手く行かなかったり下の田んぼや水路に支障が出たり、諍いの種になるのです。保全・肥料・農薬散布も然り。

そうなると、作業しながら近況報告が日常となりますから、各戸の事情は手に取るようにわかります。冗談で閨の話もでますから、それはもうにぎやかで。なのですが、いざ、自家の農地に水が入らない事象発生すると、それはもう、大げんか。だから、昔の庄屋さんや名主さんや現代の区長さんなどの世話役がいつも間に入る始末。だから、世話役の人は ”喧嘩が収まるツボ” を心得るためにも事詳細に各戸の事情に詳しくなければならなかったのです。

ところが、今どきは、Uターン人たちは個人事情を明かさない。そして、地域の共同作業にも顔を出さない。さらに、また、都会に帰ってしまわないように地域の煩わしいことはその親が全部熟してしまうので、Uターン者を滅多に見ることもありません。実は、わたしもUターン5年くらいは、そんな感じでした。

親が病に倒れ、地域の行事に出られなくなって、やむなく代理で出席した時に、冒頭のような地域事情を知ったわけです。幼い時にしか話したことがなかった地域の人が、Uターン後のことをすべて把握していたことに、あぜんとしました。嫁のことも子供のことも。

それは、しようがないのだと、今は思います。そして、高齢化が進み、事情を知っていた人たちが地域の行事にでられなくなり、その子供たちと顔を合わせるのですが、皆、事情が分からない。だから、災害で土地が傷んで隣の地権者が困っていても、解決するのに時間が掛かったりします。都会では、所有者が不明な不動産が問題となっていますが、田舎も同じです。

これから先、情報化が加速していきます。個人情報を如何に保護していくか。如何に効率よく利用してくか。相反する課題解決に勤しむことになるでしょう。みんなどこかでつながりあっている。どこか、田舎の集落の情報共有に似ているような気がした次第。





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