妄想:人気者で行こう!で、民主主義は病に臥す

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アメリカ合衆国の富豪の報酬がすごい。それをもたらしたのは弛まぬ努力をした名もなき労働者たちである・・・という主張は通らない。

異能である経営者こそ最高の報酬がもたらされるべき・資本主義。その異能者の発言で弱小国は瀕死の重傷を負うこともあり得る。生殺与奪は資本のある一部の人の権利であるということ。

政治にも資本が必要。だから、弱小労働者は少ない資本を出し合って組織化して資本を大きくして少数の大資本政治に対抗する。

選挙ともなれば、大資本政治家は資本を駆使して「人気No.1」を獲得しようとする。労働者は人気より組織率を上げて投票精度を高めるべく活動する。けれども、今の個人主義の時代にそぐわず組織率は上がらす資本も集まらず、選挙においては「人気No.1」にはかなわない。

だから対抗できる「人気No.1]を労働者から選出せざるを得ない。精錬された論理より、清楚で張り出しのいいはったりの効いた主張で、現状を変えられる希望を持たせてくれる人が選ばれる。

方や、大資本政治家は統率力とユニークな性格と話の面白さ、付き合いの広さとぶれない主張で人気者になろうとする。

精錬された論理は埋没し、「人気だけがたよりの政治」に集約されていく。その意味で、右も左も「おなじ穴のムジナ」なのだ。

ポピュリズム(Wikipedia参照):政治変革を目指す勢力が、既成の権力構造やエリート層を批判し、人民に訴えてその主張の実現を目指す運動。(否定的な解釈)大衆の利益を安易に追求することで社会的弱者の人権が侵されたり、社会的分断を招く危険が内在する。

一方が「大資本政治家個人が頂点の全体主義」であるなら、片方は、唯一無二の組織で全体主義を構成するのが労働組織の政治。どちらかの「人気者を選んだ民主主義」は全体主義の中で個人主義の縮小を生んでしまい、個々の主張は取り上げられなくなっていく。

名もなき労働者であり消費者であり生活者は、その実態を汲み上げられることもなく、硬直した全体主義政治への道をひたすら歩んでいくのである。

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個人主義(Wikipedia参照):権威を否定して個人の権利や自由を尊重する立場、或いは国家や社会の重要性における根拠を個人の尊厳に求め、その権利と義務の発生原理を説く政治思想である。



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