2006_1108世界一周part10101

世界一周の旅~インドネシア⑤(ボロブドゥール)

ボロブドゥールにはジョグジャカルタのバスターミナルから約1時間程。道中バス停というものは全くなかったのだが、人が手を挙げるとその度にバスが止まっていく。とても非効率に思えるが、もしかしたらぼやっとここら辺が停留所っていうのは決まっているかもしれない。

ボロブドゥールでは、建物の上からの朝焼けを見る為に、少々高いがボロブドゥールからの至近にあるManohara Hotelに宿泊する。1泊4,500円程しで、他のホテルと比べて豪勢な見かけの割には安いなと思ったことに加え、また歴史の授業で頻出のボロブドゥールを存分に堪能する為の必要経費だと思った為、特に躊躇なくこのホテルを選択する。

午後の一番暑い日差しを避ける為、ひと眠りしてからボロブドゥールに向かう。ボロブドゥールは、8~9世紀にかけて当時の支配勢力であったシャイレンドラ朝が立てた仏教建築とされているが、1960年代頃に"発見"されたときには密林の中で埋もれて廃墟となる寸前だったとのことである。それ以上の知識はなかったのだが、この遺跡を実際に見ていると、こんなに熱心に仏教を崇拝していた人々が、どうして次々とイスラム教に改宗していったのか、仏教建築は国家掲揚の為の建築物という意味では、豪奢なキリスト教やイスラム教に比べて簡素であると思っていたが、何故このボロブドゥールはこのように大きな建物になったのだろうか等の疑問が湧いてくる。

ブッダ生誕を示したレリーフ

次の朝には朝4時30分に起床し、懐中電灯を携えバイクの後ろに乗せてもらってご来光を見に行く。ただ、日の出の時間帯には雲が陰っていて、日を見ることができたのは日の出の時間から1時間程経ってからであった。一度、朝食を取りに戻り、二度寝をしてから9時30分ごろに最後のボロブドゥールを拝みに行く。奥地にある遺跡なので次にいつ来れるかわからない為、しっかりと細部まで見学する。

ボロブドゥール周辺の仏教遺跡も見学する為、周辺でもう一泊できる宿を探す。最終的にLotus Guest Houseというホテルに落ち着いたのだが、いよいよホテルのクラスがひどいものになってきた。まだ個室なだけマシというべきか…。

チェックイン後は、ボロブドゥール周辺の仏教建築物を見る為、自転車を借りて出かける。ボロブドゥールに来る途中のバスからも見かけた石の建物だが、名前はムンドゥ寺院という。

ここで特に印象に残ったのは、双頭の鷲のレリーフであった。近くにあった解説によると、上の鷲は高い所にあるリンゴ等のおいしいものが食べられるが、下の鷲は下にあるものしか食べられない。結果、下の鷲は毒キノコを食べてしまい体を共有する両方の鷲が死んでしまうという逸話である。上の鷲を富める人、下の鷲を貧しい人と捉えると、このレリーフは社会問題とも縮図をみることができる。富めるものが貧しいものを虐げることで共倒れになる、環境問題、食糧問題等様々なことが思い浮かぶ。

続いて、すぐ近くにあるパオン寺院を目指す。道中では、小学生ぐらいのことも達、女学生の集団、おじさん等様々な人々とすれ違ったが、皆満面の笑みで「ハロー」と言ってきてくれる。都会で良く会う「お金ちょうだい」とか「ちょっと話を聞いてくれ」と言ってくる人々はここにはほとんどいない。心が洗われる気分になる。

戻ってきたのが遅かったので、夕食はホテルの近くで探そうと思ったが、そもそも食堂自体が周りにほとんどない。仕方がなく、普段であれば絶対に試さないであろう汚さの食堂に入る。メニューが良くわからなかったので適当に注文すると、チキンとご飯と野菜のセットが出てくる。思ったほど味は悪くない。スタッフものりのりなおばちゃんたちであり、何を言っているかはよくわからないものの、色々と話しかけてきては笑っている(決してバカにしているような雰囲気ではない)。笑いの絶えない陽気な夕食となった。


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