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日本航空(JL)516便

2024年1月。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fef2fa3b39ef044e83ae85ecdb59305ed8e00084

数日前に新年を迎えたばかりですが、こんなにも多くの災難に苛まれるとは・・・
本当に胸が痛みます。

本当は明日、新年のご挨拶を含めた投稿をしようと思っていたのですが、どうしても今夜、今の思いとお見舞いをお伝えしたく、急遽ブログを書いています。

能登半島沖で元日に発生した大地震と大津波。
12年前に大きな震災を経験した地域に現在住む私としては、あの時の不安が急に思い出されました。
東日本大震災が発生した際、すでに社会人として働いていた私は東京に住んでいて、その日は休みの日でした。
義姉と銀座付近でランチをしていた私たちは、東京でも大きく揺れましたが、それ以上に、数寄屋橋交差点の大ビジョンに映し出された地元宮城県の惨劇の映像に、現実に起きていることとはすぐに理解でない状況で、パニックになりました。

それから仙台に住む家族と連絡が取れたのは、地震発生の5日後。
フライトの合間に何度も家族に電話し、ようやく繋がった電話で、家族の安全を知りました。
あの5日間、本当に生きた心地がしなかった。

そして、新幹線等の鉄道や高速道路が通行止めになった時、公共交通機関の使命として、普段定期便の就航のない羽田=仙台間の臨時便が出るのですが、会社の計らいでそのフライトにアサインしてもらい、何日も帰宅できずに困っていた多くの人の足となれたことに、本当に少しですが航空会社の一員として社会に貢献できたと実感できた瞬間でした。

きっとその想いは、私がいた会社の人間だけでなく、突然の大事故が発生したJALの方も同じことだったでしょう。
今回も、石川・富山・新潟などの被災地に向けて会社関係なく、エアラインスタッフとしての使命を果たそうと準備していた矢先の出来事。

JL516便 CTS-HND
HND着陸時に海保機と衝突で炎上。
緊急脱出。
乗員乗客計379名全員脱出。17名負傷。
使用機材A350
HND C滑走路(第2ターミナル側)

数えきれない程乗務した路線。
そして、何度も離着陸で使用した滑走路。
そして、12年、何千回と見た景色の滑走路。

正直、東日本大震災の時に大ビジョンで見た地元の映像と同じくらいの衝撃を感じました。

けれど・・・
その数秒後に、元CAインストラクターの目線で映像を見ている自分に気付きました。

私はこれまでも公言している通り、12年間、国内大手某航空会社(JALじゃない方)でCAをしていました。
そして、実は、退職までの3年間は「CAインストラクター」として、在職している全CAに対する訓練を担当する教官業務をしていました。

毎日、今日の映像のような状況を想定した訓練を実施していたのです。
火災・急減圧・緊急着陸・緊急着水・緊急脱出・救急看護・・・
機内で起こりうる人命にかかわる事象、つまり、保安緊急に関する訓練専門のインストラクターでした。

そちら側の目線で見ると・・・
20時時点で負傷者17名。
怪我の程度はわかりませんが、あの脱出口の少なさで、あの炎や煙の状態で、全員が脱出できている状況に、JL516便の乗務員の方の確実・迅速・的確な誘導と判断の結果だと強く思います。

映像に映る飛行機のL側(左側)の開放脱出口は2箇所。
かつ、インタビューの話を聞くと、後方非常口は使用不可だった可能性もある中で、400名近くの人間を限られた時間の中で脱出させて、逃げ遅れた人がいないかを確認するのは・・・本当に訓練の賜物だと思います。

マニュアルに対して確実な行動をし、かつ、その場の状況で必要な臨機応変な対応の両方が叶った結果です。

私は現役時代、実際に緊急脱出をした経験はありません。
しかし、離陸時にバードストライクに遭い、
「もしかしたこれヤバいかも」
と緊急脱出を覚悟した経験はあります。

その時に感じたことは、あの場にいる時、乗務員は本当に「プロ」であると言うこと。
数秒で頭の中に、緊急脱出時のプロシージャーが浮かび、
次々と「ああなったらこうしよう」と考えたり、
「あの席に高齢のご夫婦がいらっしゃったから、あの人にサポートを頼もう」など、瞬時にぶわぁぁぁと頭の中が回転する感覚になりました。

訓練の時に大切にしていること。
それは・・・「誰も死なせないこと」

けれど、お客様にとっては、本当に大きな災難。
それ以上でも以下でもない。
本当に怖い経験をされたことと思います。

まずはこれ以上の負傷者が増えないこと。
そして負傷された方が、せめて軽傷で済むことを切に祈ります。
そして、たとえ「負傷」していなかったとしても、これほどの恐怖を感じたメンタルには大きなケアが必要です。

この時期は飛行機を滅多に利用されないような方も多く航空機を利用されます。
小さなお子様からご高齢の方、そして日本語がわからない外国人の方も・・・。
少し落ち着いた頃からメンタル不調が顔を出したり、トラウマのように思い出したりすることも考えられますので、そういった方々への親切な対応がなされることを祈ります。

2024年1月。
予期されない災難が続いてますが、皆が手を取り合い、少しでも被災・被害を受けた方々の力になれるよう、私も出来ることから始めていきます。
皆さんもご自身や大切な方々のお身体を大切に、ご自愛くださいませ。


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