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商品がお店に並ぶまで その3-1

2週間開いてしまいました。今回はメイン(かな?)設計のお話。

設計には大まかに2段階あり、上流設計、下流設計という流れで行います。基本設計、詳細設計という言い方もあるので、この場ではこちらで行いたいと思います(私自身上流下流という言い方があまり好きではないので)。

1.基本設計

企画から来た商品仕様ややりたいことを元に、技術的な仕様や使える(使えそうな)技術を洗い出し、形にしていきます。

電気ブロックなら、SoCの選定やブロック図、信号/電源の流れ等
機構ブロックなら、デザイン画から部品構成、動き等
ソフトブロックなら、OSを使うか使わないか、新規開発するものかどうか等

電気設計では基本設計はこんな感じで進めます。これは私が実際に行っていたやり方です。

1.企画の情報からデバイス選定
2.選定デバイスの情報取り寄せ(データシート、はんだ実装条件、制限事項など)、ドキュメント化
3.デバイス情報を元にブロック図作成。電源系統、信号系統
4.構造設計(デカブツ部品や基板、機構部品の配置、フレキやハーネスの接続方法、基板構成を3次元的に設計検討する)
5.細かい部品選定(ハーネス、フレキ、コネクタ関連)
6.部品のコスト試算
7.組み立てやすさの検討
8.適用コンプライアンスの確認

などなど。結構あるなオイ。こんなにあったっけか?

他にも色々あると思いますが大まかにこれくらい。のちのちこれが設計仕様書となり、色んな所で使われます。

意外とめんどくさいのがコスト試算。製造原価に直結するので、管理部から”高い”と言われたら機能や部品を削ったり安いものに変えたり、構造を変えたりします。だいたい部品が犠牲になるけど。

1~3,5は大体予測がつくと思うので割愛。リクエストがあるか、もしくはネタがなくなったときにそのうち。

4.構造設計
構造設計とは、上記の通り限られた筐体サイズにどう収めるかの設計検討を部品の置き方を3D的に設計/検討します。近しい部品や紙で箱を作ってあーでもないこーでもないと検討します。だいたい3~5回くらい。

ここでは機構設計者と電気設計者のこだわりやプライドのぶつかり合いやせめぎ合いがあります(この間、ソフト屋さんは開発環境の構築とかしてる)。

電源基板、メイン基板、スイッチや端子などの小基板、HDD、光ディスクドライブなどのデカブツの配置、ハーネスやフレキなどの配線の仕方、ボタン配置などを検討します。商品の顔にもなり、工場での組立性、サービス(修理)のやりやすさなど、全部の工程に響くので気を抜くことができません。

いくら工場で改善カイゼン言っても、ここが適当だとカイゼン改善ができません。

ちなみに、他社の同じような商品を買ってきてばらして色々パクっ、、、じゃなかった構造を研究してます。

6.部品のコスト試算
まんまですね。各部品の価格からお幾らかかるかの試算。デカブツはそれなりにします。

7.組み立てやすさの検討
こちらも大体イメージつくと思います。どちらかと言うと機構設計の領域が大きいところですね。ネジの数、爪の数、共締めする部品量や、ハーネスやフレキの引き回し、ソフトウェアの書き込み回数や時間など。

組み立てに時間がかかればその分時間(タクトタイム)というコストや、不良が発生する原因となります。

基本的に、”本日入社しましたー!”という人がすぐ組み立てできるように設計するのが望ましく、理想です。

8.適用コンプライアンスの確認
要するにEMC規制と無線規制です(VCCIや技適というとわかるかもしれません)。国によって規制が全然違うので必ず確認します。ハーネスの引き回しで妨害電波飛びまくりで余計な部品を増やしてコストアップしたなんてことはしょっちゅうです。

ここまでやって詳細設計に入るためのレビューを実施し、合格となれば晴れて回路を引いたり、モデリングをしたりします。

詳細設計についてはまた後日にしたく、機構やソフトのことは有識者におまかせします。noteはソフト屋さん多そうですし。

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