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【深い社会】21 セミナーを終えて。ありがとうございました。

単元と単元を比較する。価値判断させる。
「なるほど、そんな手があったか!」

石坂実践に目から鱗が落ちました。
そもそも、社会科の単元には大きな概念設計がされています。
5年生の単元は、産業です。

農林水産の他に、運輸・情報が入ってきた。
産業の振興政策として、私たちの税金をどこに振り分けていくか。

大きな枠組みの概念を獲得できます。

さて、驚くと同時に、
2人の人物が私の頭の中で立ち上がりました。

コールバーグ
「価値判断させるとアクティブラーニングになるよ(多分英語で)。」

宇佐美寛氏
「は!価値判断などいらぬ。事実判断させよ。」

私の中の価値判断が起動します。
「どっちなんだ!」

ちょうど、宮森先生が「問い」の授業で悩んでいたころでした。
築地→有田→向山 エピソードを教えたら、とてもびっくりしてくれました。

ああ、若手に伝えなきゃいけないな。

こうしてできたのが、今回のプロットです。
いかがでしたでしょうか。

講師の方々の一人ひとりの分析もさることながら
村野先生にセミナー全体を見事に総覧していただきました。
非常に質の高い歯ごたえのある内容になったのではないかと思います。

さて、価値判断とは何か、ということをまとめておきます。
一番わかりやすいのが、毎日3回判断している食事作りです。

まず、判断の材料として私たちはいくつかの定言命法を持っています。

【定言命法】
・体を作る肉や魚をとれ
・エネルギーを作る炭水化物をとれ
・体の調子を整える野菜をとれ
・赤黄緑をバランスよくとれ
・でも、食べすぎに気を付けろ

これらはすべて大切なので、議論の余地がありません。
この判断材料のもとに、今日の夕食のメインを考えましょう。

【価値判断開始】
・焼肉にするか
・焼き魚にするか
・鍋にするか
・パスタにするか
・うどんにするか
・・・・・

候補は無限にあります。
このままでは決まりません。
事実分析しましょう。

【価値論争】
「焼き肉は、脂っこいからパス」【事実判断】
「焼き魚は服が臭くなるからパス」【事実判断】

このように、私たちは価値判断をするとき、個別には事実判断しているのです。
こうして、候補を減らしていきます。
5つになり、4つになり、3つになり・・・
2つになりました。

野菜をとらねば・・・鍋!【事実判断】
でも、ご飯が続いたから麵が食べたい・・・うどん!【事実判断】

【モラルジレンマ】
「家族のみなさーん。今日の夕飯、鍋とうどん、どっちにする?」

これがコールバーグのすすめるモラルジレンマです。
みんなで悩んだ結果・・・

両方とって・・・うどんすき!!【止揚】
【価値判断終了】

この課程が、価値判断であり、弁証法です。
村野先生が明らかにしたことと一致します。

この過程が頭にあれば、授業の様々な場面で応用可能です。

交通事故が心配。どうすれば減らせるか。
火事が心配。どうすれば減らせるか。
水が心配。どうすれば確保できるか。

本来であれば、道徳にも応用できるはずです。

人生には様々な困難がふりかかる。どのように乗り越えていくか。
人と関わっていくとトラブルになることがある。どう解決するか。
集団の中で自分の行動を決めなければならない。どうするか。
自然・伝統など一人の価値観を超えた存在がある。どう守っていくか。

さまざまな意思決定に、価値判断過程が応用されます。

さて、岩田一彦先生は、価値判断の過程として4つあげています。
①価値論争
②事実分析(事実判断)
③未来予測
④価値判断

これまでの社会科は、事実分析、事実判断を重視してきました。
しかし、③はおろそかになっていたように思います。
具体的には、

もしかしたら、明日の旅行でたくさん食べすぎちゃうかも。
すこし、量を減らしておこう。【未来予測】

「~すると、もしかしたら~となるのでは」
「もし、~ならば、~した方が良い」

という意見の重視です。
これは、SDGsの授業と親和性が非常に高いです。

この4つの過程を踏まえていく能力こそが、
子どもたちが未来を生き抜くために必要な能力、

価値判断「合理的意思決定」の能力です。

このような学びも、セミナーの中でいろいろな意見を聞かないと腑に落ちていきませんね。
とてもすばらしいセミナーでした。

さて、来年の研究テーマ「シン構成主義」が決定しました。
これは、

なぜ、向山先生の授業はこんなにものびやかなのか。

という問いに、答えるものとなるでしょう。
ぜひ、来年もご参加ください。

参加された皆様、本当にありがとうございました!

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